- 出演者
- 市川紗椰 伊集院光 ゆうちゃみ
新幹線は今年で開業60周年。1964年10月1日に世界初の高速鉄道として誕生。新幹線誕生の苦労話、90年代の怒濤のスピードアップ、ドクターイエローの歴代モデル、未来の自動運転について紹介する。
- キーワード
- 新幹線電気軌道総合試験車
オープニング映像。
1964年7月25日、初の全線試運転。1964年8月25日、新幹線の公式試運転を全線にわたってテレビで実況中継。1964年10月1日、開業。新幹線は世界で初めて時速200キロを超える営業運転を達成した。開業の3年以上前から運転士の養成が始まり、教育方法も手探りだった。大石和太郎さんは開業日の運転を担当した。平衡機能の検査で三半規管などの機能を調べたという。新幹線の線路工事では踏切がない幅の広い線路をゼロからつくった。工期は5年ほどだったが、500キロもの線路をつくるには時間が足りなかったという。開業までに地盤が安定せず、スピードを出せないところがあった。1964年10月10日に東京オリンピックが開催され、国内外から多くの客が集まるため、間に合わせなければいけなかった。開業当日、大石和太郎さんは運転手を務めたが、地盤が安定していないため、徐行区間が10数か所あった。すると、ビュッフェにあった速度計を見た客やマスコミが最高速度を出さない運転に文句を言いだしたという。線路の地盤が安定したところで200キロを超える営業運転を達成した。最後は定時ぴったりに東京駅に着いた。1980年代まで東海道新幹線は最高で220キロだったという。しかし、90年代に入ると、突然スピードアップ。
1992年3月14日、「のぞみ」の出発式が行われた。最高速度は270キロ、東京-新大阪間も2時間半になった。スピードアップの秘密はアルミを使った軽量化などがあるが、注目は新幹線の顔。空気抵抗と騒音を減らすためにまずは背を低くした。さらにこれまでの丸みがかった顔を角張った顔に改良。鉄仮面と呼ばれていた。その後も顔の進化は続く。1995年、試験車両300Xが誕生。東京方面と博多方面で異なる顔を持っていた。顔の違いで空気の流れが変わるため、スピードや騒音を比較することができた。1997年、500系が誕生。最高速度は300キロを突破、鼻の長さは約15メートル。2011年、E5系「はやぶさ」が誕生。最高速度は320キロ。
2019年、試験車両ALFA-Xが誕生。最高速度は360キロ、鼻の長さは22メートル。鼻が長いのはトンネルを通過した時の衝撃音と振動を軽減するため。また、速く走るためには早く止めなくてはいけないため、緊急時の減速装置が必要。地震が起きたら、できるだけ早く止めることが課題になっている。しかし、鳥が衝突するバードストライクが問題となった。そのため、板をやわらかいアルミにすることで衝突しても壊れないようにした。
最高速度270キロで走行しながら、新幹線の設備の健康状態をチェックするドクターイエロー。正式名称は新幹線電気軌道総合試験車。車内のカメラでは架線やパンタグラフに異常がないかを見る。先頭車両のカメラでは線路の状態をチェックする。深夜にチェックすることが多かったため、暗いところでも目立つように黄色になった。また、間違って客が乗らないようにという意味もある。ドクターイエローは見ると幸せになれる、幸せの黄色い新幹線などと言われている。1964年、新幹線が開業した年にドクターイエローの元になった電気試験車・T1編成が誕生。最初は電気関係のチェックしかできなかった。線路の状態は軌道試験車という専用の車両がチェックを行っていた。試験車両が常にチェックを行うことで新幹線の安全と安心が保たれた。1974年、T2編成が登場。ここから電気と線路のチェックができるようになった。1979年、T3編成が登場。2001年、T4編成が登場。2005年には同じタイプのT5編成が登場。700系をベースにした現役のドクターイエロー。そんなドクターイエローは2027年をめどに運行を終えることを発表。引退理由は車両の老朽化。引退後は計測のための専用車両がなくなる。その役割は営業車両が受け継ぐ。様々な装置を積み込んで走りながら点検・検査を行う。N700S確認試験車J0編成には電車線金具異常検知装置が搭載されており、300キロで走りながら架線を鮮明に撮影できるという。金具が変形していないか、破損していないかを自動で検出できる。また、車両の床下にも高画質で撮影できるカメラがある。線路の金具を確認することができる。これらの装置は2027年以降、営業車両(N700S)に搭載予定。
柳澤隆さんは東北新幹線の運転士。乗車前に行うのが時計の時刻合わせ、今でも懐中時計を使っている。デジタルよりもアナログの方が残り何分などが数字ではなく形で出てくるため、使いやすいという。この日の乗務は東京駅-盛岡駅(往復)。体で坂やカーブの場所を覚えて微妙に速度を調整している。ブレーキは手を添えているだけで、ほとんど使っていない。盛岡駅には20秒遅れで到着。盛岡からは貯金をしながら走り、東京駅には定時に到着した。
J0編成は未来の運転も試験をしている。東海道新幹線の自動運転は5年前から本格的な開発が始まり、テスト走行の段階まで進んでいる。今回のテスト走行は静岡駅から浜松駅を目指す。途中の掛川駅を定時通過するかも試される。運転席のモニターには運転曲線が示され、運転曲線は自動運転の要だという。出発すると、運転士は緊急時のため、ブレーキハンドルを握っているが、運転操作はしていない。途中で制限速度が変更された場合、前もって速度を上げて時間を貯金。徐行区間でその貯金を使う。運転曲線の計算は0.1秒ごとに行える。掛川駅を3秒早く定時通過。テスト走行は成功した。一番未来に近い新幹線がリニア中央新幹線、2034年以降に開業予定。車内に運転士はいない。車内にモーターはなく、走る路線の設備自体がモーターの役目を担う。それをコントロールする部署は別にあるため、車内に運転士がいなくなる。開業すれば時速500キロになり、再び営業速度が世界一になる。東京-大阪間が約1時間になる予定。
エンディング映像。
「コンテナ全部開けちゃいました!」の番組宣伝。
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2024年10月2日(19:57)