- 出演者
- -
オープニング映像。
鳥取県境港は今や妖怪の街。境港駅から続く目向き通りにはゲゲゲの鬼太郎のキャラクターのオブジェがあり、水木しげるロードと呼ばれる。その数は178体に及ぶ。道の先には水木しげる記念館が今年に全面的に建て替え改装が行われたが街のランドマークとして老若男女問わずに人気をよんでいる。その中には妖怪洞窟があり、妖怪たちがうごめいている。洞窟をぬけた先には水木しげるが手掛けた妖怪画があった。
砂かけ婆や海坊主などの妖怪を描いている。怖いがどこかユーモラスで遠くに感じるがすぐそばにいるようで、水木しげるは妖怪が盛んであった大昔は現代にはない充実感みたいなものがあったと話していた。
水木しげるは1922年に大阪で生まれた。本名は武良茂。大阪で生まれ生後間もなく両親の故郷鳥取へ。この地で妖怪の世界に誘ったのがのんのんばあ。武良家のお手伝うをしていた近所のおばあさんだという。5歳の頃には茂少年はのんのんばあとともに武良家の菩提寺である正福寺へ。そこで出会ったのは目に見えない世界。このときはあの世や妖怪への興味をつのらせた。
妖怪こそ古来より描かれてきた日本美術の1ジャンル。室町時代に描かれた百鬼夜行絵巻は現存するなかで最古の妖怪絵巻。
- キーワード
- 百鬼夜行絵巻
鳥山石燕の画図百鬼夜行は江戸中期の妖怪画集。一体ずつの妖怪の詳細が描かれる。荒木家妖怪絵巻は江戸後期に黒田藩につかえた武士が描いたといわれ奇抜な姿が面白い。水木しげる記念館の館長は妖怪は実際にみた人がいないがそれが魅力だと語る。
水木しげるは少年時代に野山を駆け回り喧嘩に明け暮れる日々だった。とりわけ画才に長けていて、独学で始めた絵が評判になり高等小学校1年のときには個展が開かれ天才画家少年現ると話題に。画家を目指し15歳で大阪の印刷会社に就職し夜間中学に通いながら画家を目指した。様々な仕事に就くがいずれも短期間で解雇された。それでも画家への思いは捨てきれなかったというが21歳のときに召集令状が届いた。水木は南方の激戦区のニューブリテン島におくられた。戦争で目にしたものを描き凄まじい敵の集中砲火のなかで水木は左腕を失った。野戦病院に負傷兵として送られたがその心身を癒やしたのは現地人集落を頻繁に訪れてトライ族との親交。大地と精霊と生きる彼らの生活をすっかり気に入った水木は、ここで除隊し一緒に暮らしたいと思うように。それでも1946年に帰国。
待っていたのは戦後の混乱。生きるためにあらゆることをやったが魚を販売したり、ひょんなことからアパートの経営者になったりし、その住人のつてにより紙芝居作家へ。さらに紙芝居業界が斜陽になると上京して貸本漫画業界の世界へ。資本漫画家としてデビューした。とはいえ描いても描いても生活は楽にならず。困窮する水木しげるをすくったのは妖怪たちだった。紙芝居時代から書いていた墓場鬼太郎は1965年に週刊少年マガジンに掲載が開始されその後ゲゲゲの鬼太郎に改題された。テレビアニメ化されると、怖いがどこかユーモラスな妖怪の姿に子どもは夢中になり一大ブームに。
妖怪たちは圧倒的な存在感を放っている。水木しげるをのアシスタントをつとめていた漫画家の森野達弥さんはその妖怪画の特徴はなんといってもリアルに描かれた背景にある。この背景はあらかじめ背景をストックし、常に書き込んだ絵を提供する。これほどまでの書き込みが必要なのはリアルな背景にひょろっとしたキャラがいるとバランスの感覚がありリアリティーをもつ。独特な色彩もまた印象的で水木しげるが使用していた染め粉を着色に使っていたが意外な色を使っていたという。
水木しげるの妖怪画の真骨頂は点描。どんな妖怪にもさりげなく施されている。森野さんが描いたキャラに点描を加えると独特の質感に。その超絶技巧のすべてに組み込んだ水木しげるの妖怪たちのいきいきとした姿。それまでの妖怪画の多くは出身地はや能力の紹介を主としたカタログだった。
水木しげるの妖怪画には人がでてきて驚いている。また出会ったときの驚きやどういうところにいるかという物語を絵の中に織り込んでいる。背景も含めすべてを詳しく説明し実在感を出すようにしているという。
- キーワード
- 水木しげる
水木しげるの絵には登場人物の驚きに加え物語が見えてくる。そのすべてを圧倒的な手描きの力で描く。
- キーワード
- 水木しげる
水木しげるは波乱万丈の人生のすべてをペンにたくしだからこそ水木しげるの妖怪は魅力的。現在水木しげる記念館では鬼太郎の誕生ー生まれかわる四つの物語ーが行われている。
水木しげるが生み出した最大のヒーロはゲゲゲの鬼太郎。鬼太郎のちゃんちゃんこには鬼太郎を守ろうという何万人もの祖先の思いのかたまりがあるという。そんな鬼太郎の活躍を引き立てるのはねずみ男。こずるくだらしない振る舞いだがそういったキャラがいるからこそ鬼太郎や妖怪たちの純真無垢が輝いている。
新美の巨人たちの次回予告。
「スポーツ リアライブ」の番組宣伝。