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藤城清治の影絵を紹介。
オープニング映像。
栃木県那須高原には森の中に美術館が。藤城清治美術館は2013年に開館したが200点を超える作品が収められている。その中にある魔法の森に燃える再生の炎は横6m、縦2.3mの大作。夜の森に三日月が輝いている。小人たちが演奏を始めれば、猫たちも騒ぎメリーゴーランドなどが回る。
魔法の森に燃える再生の炎は光と色彩が下にはられた水面に映し出され美しくゆらめく。左右の壁と天井は鏡張りで、境界線で絵が続くように計算されている。驚くべきは、その描写。一人一人違う小人たちの動き。森の木々の葉の一枚一枚が細やかに切り出されている。賑やかな真夜中に森のメルヘン。藤城清治は今年100歳。新作に取り掛かっていた。蛍光ライトを内蔵したデスクの上で、製作を行っていた。
MISIAが藤城清治のスタジオへ。2人は20年以上にわたり親交を温めてきた。MISIAのツアーロゴは藤城さんの手によるもので、第74回NHK紅白歌合戦では藤城さんの巨大な影絵の前で、MISIAが歌い上げた。
藤城さんの作品「森のこびと」は子どもにとって夜はちょっぴり怖い未知の世界。眠ってしまえば魔法使いのおばあさんやこびとたちが森の中で遊んでいるかもしれないという、遠い昔の懐かしい夢の国。
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- 森のこびと
藤城清治は1924年の東京生まれ。子どもの頃から絵を描いて遊んで要ら彼は慶應義塾大学入学後に油絵や人形劇に熱中していった。卒業後は映画会社に入社しパンフレットデザインや、編集を手掛けていく。彼の絵に注目した伝説の編集者は花森安治。暮しの手帖を創刊した初代編集長。花守と打ち合わせをしている時、停電になり部屋は真っ暗に。ろうそくの炎の中である話題になった。それが影絵。学生時代に影絵の人形劇をやっていたとの話すと、花森はこれからは光と影の時代だと話連載がスタート。それは影絵を写真に撮影し、掲載するという全く新しい試み。題材は民話や童話。しかし藤城はその影づくりを中断してしまう。その理由は立ち上げた人形劇団「木馬座」がテレビや舞台で子どもたちに人気に。とりわけかえるのケロヨンは一大ブームに。藤城が影絵の世界に戻ったのは1970年代の半ば。新たな魅力に色を発見した。
月光の響という作品は、月の光が木漏れ日となってチェロをひくこびとを照らしている。モノクロは影の美しさでカラーは光を通すロ命が輝き始める。木の葉の一枚一枚が、月の光によって色を変化していく。色彩の音楽を奏でるように。その面白さにのめり込んでいったという。その影絵の作り方を紹介。片刃のカミソリを愛用し、素手で紙を切っていくがカッターナイフよりも指先の動きを伝えやすいという。下絵を描いた台紙は、やわからな厚紙。色付けには、裏にカラーフィルターを貼る。元々は舞台照明などに使うプラスチック製で一つの色でも様々な濃淡のものが揃えてある。カラーフィルターを直接削って薄くし、理想の色合いに仕上げていくことも。シルエットを切り抜いた背景に切り出したキャラクターを貼り付ける。長い歳月をかけて培った独自の影絵作りの中で藤城作品に欠かせないのはこびとのキャラクター。
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- 月光の響
こびとについて藤城さんは冒険をしたくなる自分の分身のようなものだと語る。また一人一人が心の中にこびとがいたら面白いと答えた。こびとは生きる喜びであり、発見の楽しさでもある。藤城さんはこびとともに歩みいろいろな世界を旅してきた。
1本松がのびた作品は2011年の88歳の藤城さんは東日本大震災の被災地を巡った。藤城は防護服に身を包んでスケッチを描き続けた。そして、被災後の福島を描いた作品では大地で地平線には歪んだ鉄塔が。大地に広がるのは一面のすすきの野原。目を見張るのはその描写。葉の一枚一枚を白い穂の一つ一つを一心に切り出して描きたくましいまでの自然の営みを生み出している。コンクリートが置き去りにされ巨大な建物の上にはぼうしのこびとが笛を吹いている。このとき思いがけないものを発見したがサケが遡上しているのみて感動したという。翌年に作り上げたのは震災復興の願いをこめた魔法の森に燃える再生の炎。
魔法の森に燃える再生の炎という作品は、光に照らされた森の中でメリーゴーランドがまわり、馬たちが一斉に飛び出しこびとたちが演奏すれば森の生き物たちは歌い、踊る。しかしよくみればランプをもった魔法使いが、森に火を放っている。理由に藤城さんは火が燃えていることは自然の中で大事なことだという。永遠に消えることのない命の炎が燃えているという。
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- 魔法の森に燃える再生の炎
MISIAは藤城さんに戦争中もコロナ禍も製作をやめなかったという話をしたが、藤城さんは苦しい時も人間が生きていれば何でもでき、自然のなかで一番苦しくなった時には一番なにか面白いことが思いつくと答えた。
藤城さんの100歳の最新作はオリンピックで見たフリースタイルの自転車に猫が乗って宙を舞う。
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- 藤城清治美術館
新美の巨人たちの次回予告。
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