2023年8月11日放送 4:50 - 5:00 NHK総合

時論公論
山口 上関町に中間貯蔵施設計画 行き詰まる核燃料サイクル

出演者
水野倫之 
(オープニング)
オープニング

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(時論公論)
山口 上関町に中間貯蔵施設計画 行き詰まる核燃料サイクル

原発から出る使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設について、中国電力は山口県上関町で建設に向けた調査を関西電力と共同で行う方針を明らかにした。背景には各原発で使用済み核燃料がたまり続け、貯蔵場所の確保が切実な問題となっている事情がある。建設するのは水や電源を必要としない乾式貯蔵施設で、比較的安全だとされている。調査の申し入れを受けた上関町の町長は「議員の意向など確認し調査を受け入れるかを判断したい」と回答した。中国電力と関西電力は双方とも新たな中間貯蔵施設を必要としている状況で利害が一致しており手を結んだ。また、上関町にもメリットはある。上関町は1982年に原発誘致を表明し、国の交付金で様々な施設が建てられた。しかし反対運動などで工事は進まず、福島の事故を受けて中国電力が工事計画の中断を発表した。この間に人口は3分の1に減少し、原発で当てにしていた交付金も激減し、財政はひっ迫していた。その点、中間貯蔵施設を立地する自治体には調査段階から多額の交付金が支給される。このように3者の思惑は一致しているが、このまま進むかは不透明な部分もある。上関町では原発計画に対する激しい反対運動が予想される。

キーワード
上関町(山口)中国電力東海村(茨城)東海第二発電所関西電力

大手電力が中間貯蔵施設の建設を迫られる背景には、核燃料サイクル政策の行き詰まりがある。中核となる青森県の再処理工場は、1993年に着工したものの、技術的なトラブルや審査の滞りで、完成は26回延期され、四半世紀以上遅れている。その後も審査書類の不備が3,000ページ見つかるなどした。再処理工場が完成しないため、全国17の原発のプールは77%が埋まっている状況にある。仮に工場が完成したとしても、国の原子力委員会がプルトニウムの削減方針を示していることから、稼働は当面限定的になる、こうした事情で、今後も使用済み核燃料が全国のプールにたまり続けることになりそう。政府はウクライナ侵攻や電力危機を受けて、原発の最大限の活用を掲げ、最長60年に制限された原発の運転期間について、実質的に60年を超えて運転を可能にする法律を成立させるなど、政策を転換した。原発を使うのであればその後始末も明確にすることが不可欠だが、核燃料サイクルについての抜本見直しの議論は行われず、あくまで再処理がうまくいくことが前提となっている。まずは使用済み核燃料をすべて再処理するのではなく、廃棄物として直接処分できるようにするなど、核燃料サイクル政策の見直しを検討していかなくてはならない。今回の中間貯蔵施設への動きをきっかけに、課題解決への道筋を示していくことが求められる。

キーワード
上関町(山口)中国電力六ケ所村(青森)原子力委員会関西電力
(エンディング)
エンディング

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