- 出演者
- 二村伸
オープニング映像。
独立を目指して40年以上にわたって武装闘争を続けてきたクルド人の反政府武装組織が解散を宣言した。地域の安定につながるのか、世界各国で暮らすクルド人の帰国の道は拓けるのか。闘争集結の意味と影響を考える。
クルド人は「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれ、トルコやシリアなどの地域に約3000万人の人が暮らしている。1920年にセーブル条約によりクルド人の民族自決件が認められ国家樹立の可能性が高まったが、その後の新たな条約で今のトルコ共和国が主権国家として認められ、クルド人は人工的に引かれた国境線で分断された。トルコ政府はクルド人の存在を認めず、クルド語の使用を禁止。これに対し、オジャラン氏が1978年にPKKを設立し武装闘争を始めた。2013年にトルコ政府はPKKと和平交渉を開始したが、2015年に決裂。トルコ政府はPKKをテロ組織に指定し攻勢を強めた。去年10月、連立与党がクルド系政党を通じて和解の道を探り始めた。それを受け、2025年2月にオジャラン氏が武装解除・解散を呼びかけ、5月にPKKは解散を宣言した。
専門家の間ではクルド問題の解決は「まだ楽観できない」という声が多い。クルド人への差別・偏見は解消されておらず、武装組織の中には和平を望まない戦闘員も少なくないという。国際社会で特に影響が大きいのはシリア。PKK解散で両者の緊張が緩和され、トルコがシリアでの影響力を維持し、クルド人勢力と住み分けることになるとみられる。中東では各国でトルコ人武装組織が活動していて、PKK解散により各国の緊張緩和に繋がるのか、クルド人勢力の連携が強まるのか注目される。日本では埼玉・川口を中心に約2500人のクルド人が暮らしている。クルド問題が解決すれば、クルド人難民流出に歯止めがかかり、帰国にも繋がることが期待されている。
エンディング映像。