- 出演者
- 奥谷龍太
オープニング映像。
全人代開催中の8日に行われた記者会見で中国の王毅外相は「日中関係がどこへ向かうのかは日本の選択にかかっている」と述べた。「台湾問題は中国の内政で、日本に介入する資格はない」と述べ、去年11月の高市総理大臣の台湾有事に関する国会答弁こそが関係悪化の原因で、日本が台湾問題から距離をおくことが関係改善のカギとの立場を強調した。さらに、歴史を持ち出しながら日本の防衛力強化をけん制した。日本政府はこれまで、高市総理大臣の国会答弁は従来の政府の立場を変えるものではないと重ねて説明し、中国との会話にオープンだとも強調している。しかし中国く政府は日本への旅行や文化交流の制限に加え、先月の選挙で自民党が大勝すると40の日本企業などを名指しして20社には軍民両用品目の輸出を禁止し、他の20社には審査を強化するなどと発表し経済的威圧を強めてきた。高市政権の中国への対抗姿勢を弱めたいねらいがあるとみられる。経済を武器に中国側の立場を押し通そうとする習指導部の姿勢はこれまで日本以外に対しても繰り返されている。いずれの例でも規制が緩和されるまでに数年単位の時間がかかっている。経済的威圧の背景には相手の国が中国の要求に屈しなくても、打ち出した強硬姿勢によって将来中国側の意に沿わない政策を打ち出したり、他の国が同調したりするの未然に防ぎたいねらいがあるとみられている。また、中国の国内事情も深く関係している。外国への強硬姿勢によってナショナリズムを高揚させ共産党の求心力強化を図るとともに、低迷する経済など国内の問題から国民の目を逸らす効果もあるという。特に対日本では歴史と結びつけた宣伝を国民の多くが受け入れやすい。共産党内での習近平国家主席への一極集中による影響もある。汚職などを理由にした高官の粛清が相次ぐ中で、中国の高官の間では習首席の打ち出した方針に忠実に従わないとみなされれば自分の立場が危うくなるという恐怖心が高まっている。そのため、合理的でない理由を作り出してでも忠実さを示し習首席の権威が傷つかないようにする行動が中国のイメージの悪化などよりも重要なこととして優先されるようになっている。8日の会話で王毅外相は日本を牽制する一方で、これまでのように国会答弁の撤回を明確には要求せず日本側の出方を見極める姿勢を見せた。また、これまで“日本が軍国主義を復活させようとしている”といった根拠のない批判をしていたのと比べるとトーンがやや弱まったのではないかともみられる。先月の選挙結果を受けて、時間をかけて関係安定化に動く可能性も否定できない。
イランは中国にとって政治面で重要な友好国というだけでなく、重要な原油の調達先で、イランの体制が崩壊すれば大きな痛手となると懸念している。しかし王毅外相は会見でイラン情勢について原則的な立場は示したものの、アメリカやトランプ大統領への直接的な批判は避けた。その上で米中関係について関係の安定化を目指す姿勢を強調した。念頭にあるのは今月末に予定されている米中首脳会談。また、今年中には習主席の訪米も検討されている。習近平指導部が掲げる長期目標は「中華民族の偉大な復興」。共産党の一党支配を維持しながらアメリカとの競争に勝ち台湾を統一することだ。そのためには経済の低迷で苦しむ今、力による外交を全面に押し出すトランプ政権と事を構えるのは得策ではない。表面上米中関係を良好に保ち、力を蓄える戦略だとみられる。アメリカが反米を掲げる中国の友好国を次々に無力化したあとには本格的に中国に矛先を向け台湾統一を妨害し共産党一党支配体制を揺るがし国の発展を妨げようとしてくるという疑念も強めている。日本との関係悪化も間接的にアメリカに決意を示したい思惑があるとみられる。今後も日本の言動がアメリカより強く出たと中国が受け止めれば圧力をかけてくるだろう。
エンディング映像。
