- 出演者
- 渡邊佐和子 佐藤二朗 畑中章宏 荒井信司
オープニング映像。
恐竜の人気の背景に強そうな見た目、詳しい生態が未だにわからないといったミステリアスな存在が挙げられる。
長崎市恐竜博物館は日本で3つ目となる恐竜専門の博物館で、毎月2万人近く来場するという。同館には日本で初めて「恐竜」という言葉が記された理科の教科書が所蔵され、執筆したのは古生物学者の横山又次郎。恐竜学の父とも呼ばれる。1842年、イギリスの解剖学者が太古の巨大生物をDinosaurと命名した。ギリシャ語のDeinos(恐ろしく大きい)とSauros(トカゲ)を組み合わせた言葉。横山はトカゲではなく、「恐竜」という和訳にこだわったという。古より、日本人は竜が水を支配する神として崇拝し、平安時代には竜が棲むとされる霊場が祀られている。横山は神秘の姿、溢れるロマン、自然界の畏敬の念を伝えるには「竜」以外にないと考えたのかもしれない。
民俗学者の畑中章宏氏によると、竜が生み出されたのは中国で、王権や国土を守護する存在だった。日本に伝わると、水と結びつき、神秘性から絵師、仏師によって表現され、庶民にも広まっていった。
- キーワード
- 乾隆帝
千葉・栄町の龍角寺には竜を思わせる頭の骨が保管されている。奈良時代のこと、日照りが続き、田畑が干上った村に、竜を名乗る老人がやってきた。村民を救うため、老人は竜となり、恵みの雨をもたらした。だが、竜は神の怒りを買い、三つ裂きにされてしまう。村民は竜に感謝し、手厚く供養したという。埼玉の秩父市には土砂災害を起こしては人々と困らせた悪しき竜が棲んでいたという。竜が死に絶えると、地面に骨が落ちていたとか。江戸時代、滋賀・大津市の地中から竜の骨が見つかったといい、発見者の子孫に取材を試みた。発見した場所に祠が建てられ、正月の初詣、子どもの受験、病に伏せる親族の快癒を願ったりしているという。
絶滅してしまった動物について研究している甲能直樹氏の調査の結果、VTRに登場したのはゾウの化石だった。太古の昔、日本では様々な種類のゾウが繁栄と絶滅を繰り返し、短期間に生息していたのがトウヨウゾウ。
千葉・栄町の布鎌地域はかつて水害に悩まされていた。水害から身を守るための様々な知恵が今も残されている。ただ、高い土地に暮らす人間が堤を切り、低地へ水を流すことで自分たちの田畑だけを守ろうとしたといい、争いが耐えなかった。文献によると、低地の人たちは捕まえたカエルを煮出して茶をつくり、高い土地の人に振る舞うことで下痢を起こすよう画策していた。その後、住民たちはお金を出し合い、神社を建てた。水を操る竜を頂に据え、力をあわせて災害と戦うことを誓ったという。10月には例大祭が行われ、水害からの安全を祈願している。
民俗学者の畑中章宏氏は「竜の伝説、伝承があるところには過去に水害が起こった可能性が潜んでいるケースが多い」、「災害と付き合ってきた、克服した歴史もある」などと語った。また、過去の災害の記憶を掘り下げることで、防災、減災につながるという。人々は竜に畏敬の念、超越的な力強さを感じてきたが、恐竜、ゴジラと共通するところがあるといい、佐藤二朗はゴジラについて、破壊の化身で、人間に教訓を与える存在と認識していた。
「歴史探偵」の次回予告。