- 出演者
- 佐藤二朗 片山千恵子 河合敦
スタジオには江戸時代の握り寿司が用意され、佐藤二朗は「お醤油つけなくても十分美味しい」と語った。
今回は江戸時代に育まれた豊かな食文化を特集する。
オープニング映像。
1811年に奉行所が行った調査結果を紹介。江戸には居酒屋、うどん、茶漬け屋などの食べ物屋があり、その数は世界最多だったという。火災が多発していた江戸には建設工事を担った労働者がいて、独身も多かったことから、外食の需要はそれだけ多かったという。
「大河ドラマ べらぼう」の初回に江戸を代表する料亭、百川の豪勢な料理が登場している。160年の歴史がある老舗割烹の5代目、橋本享氏は江戸料理の再現に取り組んでいて、百川で供されたという献立の史料に目を通して貰った。お吸い物で店の格が分かるといい、史料にはタイ皮付きシンジョと書かれていた。橋本氏は鯛の美しい皮を目立たせるのが効果的と考え、鯛の骨でとった出汁は赤味噌で味付け。半日ほど放置し、味噌を沈殿させ、透明な上澄みだけ掬い取って使用。味噌の風味を残しつつ、具の美しい見た目を邪魔しないお吸い物に仕上げた。史料をもとに、橋本氏は5品を再現してくれた。初鰹は食すと寿命が伸びるとされ、高値で取引されていた。
浴室を備えた料亭は一流の証とされ、百川も同様だった。史料によると料理のお値段は一人前1千文で、現代の価値にすると約1万5~6千円。大工の1日の稼ぎは300文、繁忙すると7~800文だったといい、決して届かない値段ではない。
スタジオにはVTRに登場したお吸い物が用意され、実食した佐藤二朗は美味しさに驚嘆した。河合氏によると、文人たちは高級料亭で狂歌や書画の会合を行っていたといい、身分の隔たりはなかったという。マシュー・ペリー率いる黒船が来航した際、幕府の依頼で料理を用意したのが百川だった。1人あたり30万円の価値があったという。そんな百川は明治に入ると歴史から姿を消す。
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- マシュー・ペリー
江戸時代、料理に関する本は200種類にのぼり、一般人も料理について学んだという。1643年に生まれた「料理物語」では250種類以上の料理法が紹介されている。また、1782年に登場した「豆腐百珍」には豆腐を使ったレシピが100通りも掲載。なお、レシピに注目すると、量や時間といった具体的な記載はない。江戸時代の食文化を研究する鎌谷かおる氏の研究グループの学生に協力して貰い、同じレシピをもとに江戸グルメを調理。4品とも色合い、具材の大きさまでバラバラだった。料理する人によって様々な解釈が可能で、結果として多様な江戸グルメが生まれたという。
「きょうの料理」に出演する土井善晴氏によると、決まり切ったレシピでは同じものしか作れず、”何でもええんです”が食の豊かさに繋がっているという。河合敦氏は「人より早く美味しいものが食べたい、初物食いという文化があって特に初鰹は人気だった」と説明。
江戸時代から昭和にかけ、九十九里は日本屈指のイワシの漁獲量を誇った。また、イワシを加工して〆粕、干鰯といった肥料が作られ、野菜や米の栽培に用いられた。江戸時代に出版された本には再生紙が使われ、人の毛髪が混ぜられている。採取した毛髪を科学的に分析すると、庶民の食生活が垣間見えるという。江戸のような都市では海産物に由来する成分の割合が増加していたという。
江戸時代、料理本の他に農業、漁法の技術が記された本も出版された。また、イワシの脂は安価だったため、庶民は行灯に用いた。夜間の行動も増え、外食する人も増加。飲食店も繁盛したという。最後に佐藤二朗、加藤アナは鯛のお吸い物を改めて絶賛した。
「歴史探偵」の次回予告。