- 出演者
- 佐藤二朗 片山千恵子 河合敦 中村隼人
今回は大河ドラマ「べらぼう」に登場する長谷川平蔵宣以を特集。
オープニング映像。
大河ドラマ「べらぼう」で長谷川平蔵宣以を演じる中村隼人が登場。大叔父の萬屋錦之介、親類の中村吉右衛門が担当していたこともあり、演じるにあたってプレッシャーと同時に楽しみでもあったという。放火や強盗など重大犯罪を取り締まるのが火付盗賊改で、その組織のトップだったのが長谷川平蔵だった。
磐田市歴史文書館には日本左衛門が率いる強盗団に関する記録が所蔵されている。大名領、旗本領、幕府の直轄地である天領を襲撃し、越境捜査はなかったので、各領地をこえれば追跡から逃れることが可能だった。そこで、幕府は徳山五兵衛率いる火付盗賊改に捜査権を与え、特別な十手を支給。十手についた鈎で敵方の刀をロックし、テコの原理により刀を奪取できた。十手を掴まれても、相手の手をしめ上げることもできた。盗賊団を壊滅寸前まで追い込むと、徳山五兵衛は捕縛した手下への聴取をもとに人相書を作成。観念した日本左衛門は自首することとなった。
江戸時代の捕物に使われた鉤縄、手鎖などが用意された。手鎖は大河ドラマ「べらぼう」で山東京伝に使われていた。また、悪行をはたらいた日本左衛門をモデルに歌舞伎の「白浪五人男」がつくられた。登場する日本駄右衛門は「盗みはすれど、非道せず」とモットーとしている。
1657年、明暦の大火により、10万人の死者を出したとされる。災禍に乗じた犯罪も横行し、火付盗賊改が取り締まりにあたった。取り調べでは石抱などの拷問を行っていた。江戸時代の裁判では証拠が揃っていても、自白を引き出す必要があったという。火付盗賊改の中核的存在だった中山勘解由は独自の拷問法も考案した。
河合敦氏は「火付盗賊改には功罪があった」と話し、中山勘解由は街を暴れ回った集団を一掃した一方、怪しい人間はしょっ引くといった強硬策もとっていた。徳川吉宗の時代、火付盗賊改が自白を強要したことで冤罪が生まれた。再捜査にあたったのが大岡忠相だった。その後、長谷川平蔵宣以が従来の悪いイメージを刷新した。
菊川駅周辺に長谷川平蔵、遠山金四郎が屋敷を構えていたという。大河ドラマ「べらぼう」の第1話で明和の大火のシーンがあるが、捜査にあたったのは平蔵の父である宣雄。放火犯を捕らえると、自白だけに頼らず、入念な現場検証を行ったという。長谷川平蔵は42歳で火付盗賊改に任命され、盗賊だった真刀徳次郎の捕縛に成功。拷問に頼らず、悪人であろうとも真摯に接した。「どうせ捕まるなら、平蔵さま」と自首する者もいた。長谷川は犯罪の背景に何があるのかにも目を向けたという。また、職業訓練を施し、社会復帰させるための施設「人足寄場」が孤島につくられた。河合氏は「水に囲まれていたので脱出できない」と語った。一方、出所後の積立金が用意され、勤務先まで面倒をみてくれた。
人足寄場は長谷川平蔵宣以、松平定信の共作のようなものだという。なお、河合氏は「定信は平蔵のことが嫌いだったみたい」と話す。丸山泰弘教授は「犯罪の背景には社会政策の失敗などの問題が隠されている。そこに目を向けた長谷川平蔵からは学ぶべきことが多い」とコメント。
「歴史探偵」の次回予告。
