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オープニング映像。
溶接の精度がEVのモーターの性能に影響するという。溶接に使うレーザーは増幅させた光を一点に集約したもので、大きな熱エネルギーを生む。従来の方法ではガスを吹き付けながら電気の熱で溶接を行っていたが、レーザーの場合は銅に熱が伝わりやすいため溶接のスピードが格段に向上。1つの溶接にかかる時間は約0.3秒。ミリ単位の緻密な精度がモーターの重さや性能などに影響を与えて、低燃費・低コスト化につながっている。このレーザー加工機を開発・製造しているのが今回のガリバー・古河電気工業。レーザーには熱を出す他にも、情報を高速で大量に遠くまで送る性質がある。
古河電気工業は海外を含め124のグループ会社を持ち、国内に7つの事業所、8つの営業所、4つの研究所がある。年商は1兆565億円、従業員数は5万2757人。得に力を入れているのが光半導体を使った事業。レーザーとは光を増幅させ1点に集約したもの。その役割は金属加工から治療、情報通信まで幅広く、古河電工は金属加工や情報通信の分野で高い競争力を持っている。合わせて180個の光半導体から生み出される高出力のレーザーは1つに集約してから照射される。こうして作られたレーザーは金属に深く溶け込むことから、従来のレーザーより高い性能を発揮する。
古河電工のレーザーが生み出す高い熱によって金属の切断や溶接を行う。開発当初は火花が飛び散って周りの金属を傷つけた。開発当初、レーザーを照射する部分は丸い形をしていたが試行錯誤の末、新たにガラス基板を入れて会社のロゴマークに変えたところ火花がほとんど出なくなった。古河電工のレーザー技術はそもそも通信分野において開発が始まった。インターネットはかつては電話回線で各家庭とつながっていたが、現在は光回線がほとんどの世帯をカバーしている。音楽ストリーミングや動画配信が気軽に楽しめる背景には光通信を支えるレーザー技術の進化があった。光半導体の開発を30年以上も手掛けてきた古河電工は通信技術の急速な進化に対応してきた。
光半導体は1mm以下のチップがレーザーを生み出す大本。チップの両端に鏡のように反射する膜を作り、チップに電気を流した際に生まれる光が無駄なく増幅されてレーザーとして外に出てくる。チップに電気を流すと、そのエネルギーの半分以上は熱に変わってしまう。チップが熱で壊れないよう、熱を逃がす部品に乗せる。続いて、電気を流すためのワイヤーを20か所以上繋げる。チップを組み込んだモジュールをレーザーを制御する基盤に取り付ければ完成。創業者の古河市兵衛は「日本を明るくしたい」という想いから電力インフラの整備に邁進したという。1970年頃、光通信の研究を始めると、1974年には世界初の光ファイバーのフィールド試験に成功した。1990年代後半に入ってインターネットが普及、通信用光半導体を開発したことでグローバルな展開が加速する。
光通信の発展をリードしてきた古河電工。1990年代後半に入ってインターネットが普及、通信用光半導体を開発。2001年にはルーセントテクノロジーズ社の光ファイバー部門を買収し事業の拡大を狙った。しかし、ITバブルの崩壊によってルーセントテクノロジーズ社の売り上げが大幅に現象、1600億円以上の損失を出してしまった。この難局を乗り切ると、国内外で徐々に光ファイバーの需要が回復し始めた。さらに、通信用光半導体を次々と生み出すことで大容量通信時代を支えるまでに成長した。古河電工は新たに、レーザーでサビ・塗膜・塩分を取ることができる技術を開発した。サビ取りの効率が格段に上がり、乗組員の負担が軽くなる。今後は船舶の他、鉄道車両などのインフラにも活用の幅を広げようとしている。
データセンターはインフラとしての重要さを増す一方で消費電力の大きさが問題となっている。古河電工は新たなネットワーク装置の開発を進めている。開発したのはデータセンター内の通信に使う光半導体。従来品と比べて電気から光の変換効率が30%向上して消費電力を抑える。
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知られざるガリバーの次回予告。