2023年9月16日放送 11:15 - 11:42 NHK総合

首都圏情報 ネタドリ!
絵本作家・五味太郎 50年の“みち”

出演者
合原明子 
(オープニング)
オープニング

代表作に「きんぎょがにげた」を持つテレビにはめったに出ない絵本作家・五味太郎が、絵本、子どもへの思いを語った。五味太郎は、軽やかに逃げる能力っていうのはちょっと必要かもしれない、などと話していた。

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絵本作家・五味太郎 50年の“みち”

五味太郎は、毎年夏休みを過ごすという長野県の山荘で取材に応じた。合原明子と2歳の娘も五味太郎のきんぎょがにげたの愛読者。多彩な題材で絵本を書いてきた五味さん。言葉遊びを絵本にした「さる・るるる」は小学校の教科書にも掲載された。五味太郎は、思いついて出来上がるまで8時間などと明かしていた。五味が作品を生み出してきたアトリエで、絵本のアイデアを練る必需品だというノートを見せながら「3割位のイメージで書き始める」「自然に展開していくのを味わう」など作品づくりの過程を説明していた。

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きんぎょがにげたさる・るるる五味太郎長野県

ミュージシャンの坂本美雨さんは五味さんの絵本に大きな影響を受けてきた1人。父・坂本龍一と母・矢野顕子という音楽家の両親の元に生まれた美雨さんが初めて触れた五味さんの作品は、ある・るるるだった。坂本美雨は、ずっと大きくなってもそばには置いてあったので自分で手に取ったり、あとトイレにも置いてあった気がすると話す。16歳の時にミュージシャンとしてデビューし、今は一時の母でもある美雨さん。人生の様々な場面で五味さんの絵本で育ったと気付かされるという。

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五味さんが絵本作家になったのは27歳の時。10代のときに表現の面白さに目覚めミュージシャンや劇団員、デザイナーなどの道も模索してきた。デビュー作のタイトルは「みち」。自分の生きる道を探していた当時の五味さんにもどこか重なる作品。五味は音楽に乗っけて歌うたいになる道もあったんだろうな、その方向も模索したことがあるが、ライブの人間じゃないと思ったことがあるなどと明かした。その後50年に渡る絵本作家の道はデザイナーとして働く中で自然と開かれたという。

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みち五味太郎
絵本作家・五味太郎 独創性の源は

五味さんはそれまで、子どものものとされていた絵本を、大きく変えたと言われている。五味さんの70冊以上の作品に関わってきた編集者の有川裕俊さんは「新しい絵本の世界をひらいてきたのは間違いないと思う」「それまではお話があってお話に挿し絵がカラーでついている感じだったのに絵と文を一体化させている そこに五味さんの絵本の大きな違い 今までと違うものがあるんじゃないか」などと語った。絵と言葉によって織りなされる五味さんの作品。その特徴がよく分かるのが「いっぽんばしわたる」という作品。有川裕俊さんは「文だけ聞いているとあなた何を言いたいんですかとわからない」「全然因果関係がどこにもないんだけど絵を読むと何の違和感もない 大変な発明だと思っている」と語る。

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いっぽんばしわたる五味太郎

五味さんの細部へのこだわりに驚かされたという人もいる。クエリーティブユニットのtupera tuperaは、パンダ銭湯を始め、ユニークな絵本が軒並みベストセラーとなっている。実は五味さんの絵本に刺激を受けて絵本を書き始めた2人。中川敦子さんは、五味さんは形から表紙、裏表紙、中の見返し、背表紙とか物であると、絵本は一つの物、プロダクトとしても絵本には魅力がある、と語った。

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五味さん自身は絵本をどのように捉えているのか。五味太郎は、絵本は簡単に言えばエンターテインメント、娯楽です、それを十分に遊べるのが子ども、などと話す。絵本はスリリングな世界で愉快な世界だとしていた。絵本の常識を覆す作品を次々と生み出してきた五味さん。編集者の有川さんはその発想の源に触れたときのことを、今も覚えているという。有川さん「あるとき五味さんに『考えるっていうのはどういうことですか』と聞いたら、そしたら五味さんが即答で『よく見ることだな いろんな角度から見られるようになったら本当に考える人だ』って そしたら五味さん自分でそれをやっているんです これ『みず』っていう絵本ですけど」と絵本を紹介。有川さんは、ものの見方を提案していると話していたと聞くと五味さんは、たまたまそうやって生きてきたクセだと思う、子どもの仕事は見ることだと書いている、見て聞いていれば良い、その内にまとめたくなってきたり、まとめ方もバリエーションがある、それが個性だと思う、などと語っていた。子どものように見ることが創作の土台だという五味さん。五味さんは、子どもは未来に対して生きていない、いまを生きている、大人は来週のため、来月のために生きているという。

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みず五味太郎

五味さんと20年来の付き合いがあるtupera tuperaの2人。親交を深めるきっかけとなったのは子供たちと自由に絵を描くワークショップだった。それ以来五味さんの自分の感覚を大事にする生き方に影響を受けてきたという。中川敦子さんは、五味さんに出会って、こんなに大人も思いっきり遊んでいいし、人生を楽しんでいいんだと、と話していた。今回の取材で五味さんは今夢中になっているという68歳で始めたチェロを見せてくれた。その他にも野球やテニス、俳句やマージャンなど興味は尽きない。なぜこれだけ人生を楽しめるのか。

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絵本作家・五味太郎 “にげる”のススメ

かつて描いた”にげる”が自分の原動力だという意外な答えが返ってきた。五味さんは、面白いとこないかなって感じの”にげる”、成長するってことは自分でセレクトしていく、今を逃げて次に見つけて微調整をする、軽やかに逃げる能力っていうのは必要かもしれない、その内に足腰が弱って逃げる能力がなくなると、ここを良いものだとでっちあげなくてはいけなくなる、好きに素直に動く、と説明した。5年前、五味さんは逃げるをテーマにしたもう一つの絵本「ひよこはにげます」を発表した。五味さんは、今の社会は右肩上がりな脳もあって、完全にいくわけない、そのために無理する、下手すると不法な行為をしてまでもあがっていく、成長神話から脱却すると楽だと語る。さらに、今を生きる、楽しいを意識したほうがいい、と思うと語っていた。

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絵本作家・五味太郎 50年の“みち”

取材の最後に五味さんのこれからを聞くと、何となく2,3ヶ月は見えているとけどその先どうなるのかよくわからないという。今日伝えたインタビューの全文はQRコードからも読むことができる。デビューから50年を迎えた今年、五味さんは新作の絵本「とんで やすんで かんがえて…」を出版した。

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