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オープニング映像。
先端半導体で世界から遅れをとっている状況を打開しようと、小池淳義さんたちはラピダスを設立して新世代の半導体を大量生産することを目指した。小池さんのもとにはニッポン半導体復活のミッションに共鳴する人材が集結し、社員は900名を超えた。大手半導体製造装置メーカーの経営者だった東さんと政治家や経済産業省に働きかけ、国の巨額の予算を投入するプロジェクトが立ち上がった。1989年の半導体企業の売上高ランキングでは上位10社のうち日本のメーカーが6社を占めていたが、現在日本のメーカーは姿を消し1位はアメリカのエヌビディア、2位は台湾のTSMCとなっている。日本では開発設計から生産、販売を一社で抱える自前主義が常識だったが、世界では開発設計を担うファブレスと生産を担うファウンドリの2つに分けるほうが効率的という考えが主流になった。TSMCはファウンドリとしてエヌビディアを始め世界中のファブレスから半導体生産を受けて急成長を遂げた。小池さんはかつてファウンドリをいち早く日本に導入しようとした。日立の社員だった小池さんは、会社に働きかけ半導体製造専門のトレセンティテクノロジーズを設立。さらに親会社から独立させファウンドリにしたいと考えていたが、親会社は独立を認めずに自社の工場として吸収。小池さんは社長を解任された。それから十数年が経ち、小池さんはファウンドリとしてラピダスを立ち上げた。
小池さんが考えるニッポン半導体復活のシナリオ第一章はIBMとの技術協力。ラピダスの技術者たちはIBMが開発した半導体技術の実用化に取り組んできた。半導体は一番下に敷き詰められたトランジスタを小さくすれば消費電力が下がり、多く敷き詰められるため性能が上がる。IBM研究所が試作品として開発した新型トランジスタGAAは、あまりに小さく複雑な立体構造ゆえに安定した品質で大量生産することは極めて難しい。この難題に挑むためIBM研究所にはラピダスから150名以上の技術者が送り込まれた。ラピダスの量産開始は2027年の予定。一方でTSMCは年内にも量産を開始するとみられており、ラピダスの前にTSMCが立ちはだかる形となる。量産技術の獲得とともに、製造装置を工場に揃えることも重要となる。小池さんはハイスピードでローコストな生産を実現するため完全な自動化という構想を持っていた。
小池さんは量産化の鍵を握る独自の製造装置の開発も依頼していた。かつて小池さんとともにトレセンティテクノロジーズで腕を振るった技術者の舟橋さんの会社は、半導体洗浄装置の分野で世界有数の技術を持っている。舟橋さんのような熟練技術者を取り込むことが、小池さんが描くニッポン半導体復活のシナリオの一つだった。小池さんからの依頼で開発している製造装置は、シリコンウエハーの表面を均一にして回路を正確に書き込めるようにするのが役割。
ラピダスの工場にオランダのASMLが開発に成功したEUV露光装置が到着した。小池さんは開発者のファン・デン・ブリンクさんと30年近く交流を重ねてきた。1台500億円以上で、国家プロジェクトだからこそ購入できた装置だった。ファン・デン・ブリンクさんは、世界のファブレスからの発注がTSMCに集中する今ラピダスに勝機はあるのかと疑問をぶつけた。小池さんは、地上は急激に拡大しているためTSMCと戦う必要はないと答えた。小池さんはシリコンバレーのテンストレントが独走するエヌビディアに将来対抗しうる存在になると睨み、顧客として目をつけた。ジム・ケラーCEOは、小池さんのアプローチを受けてラピダスと協業契約を結んだ。決め手は最先端半導体をハイスピードで量産するという小池さんのビジネスモデルだった。
6月16日に国内初となる2ナノ世代半導体の試験的生産が始まった。生産はAIを導入した最新のコンピューターシステムで制御される。取材陣は生産プロセスを追う予定だったが、次に小池さんが撮影に応じたのはもう生産を終えるという12日後だった。ディレクターはプロジェクトは国民の税金で成り立っているのでもう少し国民に情報を開示すべきではないかと尋ねた。小池さんはそう簡単にはお見せできない、普通と思うようなシーンでもライバルにとってはものすごい情報になると答えた。小池さんが表舞台に登場したのは3年前。託された国民の税金は今や1兆7000億円で、最終的には3兆円を超えるとみられている。7月18日に2ナノ世代半導体が初めてメディアに披露された。
小池さんはASMLのクリストフ・フーケCEOを訪ねた。フーケCEOは、小池さんは日本に先端半導体をもたらすという夢をもって世界を回っていた、そんなことはできるわけがないとみんな笑みを浮かべていたが夢は実現しつつある、小池さんの強い意志のたまものだと話した。ASMLはさらに微細な回路を描くことができる次世代型EUV露光装置の開発を進めている。小池さんはベルギーの半導体研究機関imecにも足を運んだ。小池さんは最先端半導体を安定して供給し続けるため、国際的な協調体制の強化に奔走していた。小池さんは、日本がどうやって世界に貢献できるかがポイント、ものづくりに対する深い考え方と生産技術に対する新しい思考は日本が貢献できる分野だと話した。
エンディング映像。
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