- 出演者
- 川崎寛司
ことし6月、北関東最大の都市・宇都宮の市街地にクマが出没。幸い人的被害はなかったが、捜索は難航。捕獲するまで4日間かかった。それから3か月、捕獲されたクマの分析が進んでいる。そして対策の検討も始まっている。市街地にクマは再び出没するのか。どう対策していくのか。最新情報をもとに考える。
体長1m50cmほどのクマがことし6月に宇都宮市内に出没。これからの時期、クマは凍眠を前に活動が活発化。再び同じようなことが起きないともかぎらない。そこで、クマについての最新情報を伝える。
宇都宮に出没したのはどんなクマだったのか。栃木県林業センターにはクマの体の一部が保存されている。歯の年輪を調べて9歳だと推定。野生のクマの寿命は約20年で9歳は成獣になる。体毛からは草食動物や昆虫と同じような食性だったことがわかった。さらに、筋肉片からは捕獲直前まで市街地に近づいていなかった可能性が強いことがわかった。人の生活とは関わりがなかったとみられるクマがどのように市街地に入り込んだのか。日光から緑地が繋がる中、市街地に入る前にあるのが環状線。4車線あり交通量も多く、クマがこの防波堤を越えて市街地に入ることは難しそうに思える。しかし、現場を調査すると抜け穴があることもわかった。田川を伝って市街地に入った可能性もある。さらに、茂みの近くに環状線の切れ目があり、その先は最初の目撃場所の長岡公園につながっていた。クマは八幡山公園の緑を見て市街地に入っていった可能性が見えてきた。
野生動物の研究をしている稲垣亜希乃さんは、「エサを求めた可能性はあると思う。また、宇都宮に出没したのは繁殖期で、メスを探す過程で移動範囲が大きくなりうっかり市街地まで来た可能性も考えられる」とした。栃木県内のクマの推定生息数はここ20年程で4倍以上に増加している。個体数増加の背景には、1980年頃からの当時絶滅が危惧されたクマを保護する流れがある。さらに、人間の森林域や中山間地域での活動が減少したことでクマの生息地と市街地の距離が近くなったことも考えられる。
誤って市街地に迷い込んだとみられるクマ。人を襲うことはなかったが、幸運にすぎない。クマの攻撃は顔の骨を砕くほど強力で被害者の中には後遺症に苦しむ人も少なくない。クマの目撃は相次ぐものの行方をたどるのは困難を極めた。その要因は市街地特有の死角の多さ。4日目にようやくクマを追い詰めたが、市街地特有のさらなる難しさに直面。威力のあるライフルなどの装薬銃は使えず、麻酔銃が採用された。市が頼ったのは宇都宮動物園の飼育員の磯さん。現場は見通しが悪く、一発目と二発目は外れ、麻酔銃を撃てる場所を見つけて最後の一発を的中させた。
ハンターとしても活躍する稲垣さんは、死角の多い市街地でのクマの捜索の難しさを語った。麻酔銃は空気圧で発射するので万が一外しても装薬銃より周囲への影響は少ない。一方、麻酔銃は住所時許可と麻酔薬使用許可が必要でかぎられた人しか使用できないデメリットがあり、栃木県で麻酔銃を撃てる人は3人しかいない。市街地にクマが入る前に侵入を防ぐことが大事になる。市街地のクマ問題に悩む仙台市ではクマの特徴を学習させたAIカメラを導入。クマが出没すると撮影し、担当者に連絡がいく仕組みになっている。さらに、国も推進する対策がゾーニング。クマと人が住むエリアを区分することで棲み分けを目指す考え方で、重要になるのが緩衝地帯の整備。
先月下旬、那須塩原市の山中でクマの出没予測の調査が行われた。堅果類の生育情報を調べる。堅果類が豊作の時はクマは山にとどまり、不作の時は別のエサを求めて市街地に出没する可能性が高まる。
堅果類の調査は9月中旬に終了し、結果は9月下旬に栃木県のホームページで公開される。個人でできる対策の一つがクマ撃退スプレー。クマとの向き合い方について稲垣さんは「人間の影響で住む場所や行動が変わっていることも事実。クマを恐れるだけでなく、クマのことを知り、冷静に対策をすることが共存への一歩」と話した。
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- クマ栃木県 ホームページ環境省
