- 出演者
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オープニング映像。
今年5月、月に一度の元受刑者や支援者たちの会合が行われた。参加者には薬物やギャンブルの依存症者が多く酒を控える姿も目立っていた。碧の森代表である湯浅は自身も2年7ヶ月の刑務所暮らしを経験した元受刑者である。日本の再犯者率は47%で、出所者の孤立が理由として最も多い。刑務所での教育に疑問を抱いた湯浅は出所後に出所者の社会復帰支援の活動を開始した。出所者が再び犯罪者にならないために何ができるのか、湯浅の活動を通して考えていく。
今年3月、覚醒剤取締法違反で4度目の逮捕され、執行猶予付きの裁判を受け釈放となった43歳の男性を湯浅は警察署まで出向き迎えた。男性から話を聞いた湯浅は男性に再犯しないように度々釘を差していた。湯浅は受刑者は色んな人が様々な方向からアドバイスや助言をもらって一緒に伴奏してもらうことで漸く社会復帰できるもんだと考えているなどと伝えた。高校入学後の湯浅は夜の街に繰り出すようになり、違法薬物にも軽い気持ちで手を出し、水商売の道を進んだ。それからの湯浅は薬物依存の日々を送り、30代で水商売の客と結婚し、安定した生活を過ごしたが、地味さはつまらなさからストレスを感じ、スリルを求めて万引きするようになり、4度の逮捕を経験し、懲役2年7か月の実刑判決を受けた。刑務所で刑務作業に励む中で湯浅は刑務所での教育のおかしさに疑問を抱き、自分のケースでは依存症が根底にあるものの実刑は刑務所に閉じ込めるだけに終わり、それで何が変わるのかと問いかけた。逮捕後に湯浅は本を読んで依存症への知識を高めたが刑務所でのそうした指導は一切なく、刑務所内での教育を変えたいと志し、ブログを始めた。ブログの読者に受刑者家族が多いことに気づいた湯浅は出所者とその家族を支える伴走者に成ることを決心し、2021年に碧の森を創設した。碧の森では受刑者との面会や手紙のやり取り、被告人の社会復帰の可能性を証言する情状証人を引き受けるなど孤立させない取り組みを行っている。
日本の再犯者率は47%である。今年6月1日から118年ぶりに刑罰が変更となり、刑務作業が義務付けられている懲役刑と、刑務作業を伴わない禁固刑が拘禁刑に1本化され、受刑者の社会復帰を見据えて、受刑者の特性に応じて教育プログラムを実践する刑罰となった。碧の森では出所者同士が会話する独自の取り組み・前科者座談会を行っている。湯浅に相談している依存症者は常時20人ほど居り、その中で覚醒剤依存と向き合う男性がいる。この日には話を聞くためにスタッフは男性と待ち合わせ、話を伺った。55歳の男性はこれまでに薬物犯罪で3度逮捕された。男性は30代の頃に仕事のストレスから興味本位で覚せい剤に手を出し、出会い系サイトで出会った女性との性交渉の際に使用していた。男性は3年前からクリニックに通院しており、境界知能だと診断されている。湯浅は自分からあまり連絡を取らないようにしており、助けてほしいと言える力を養ってもらい、助けを求められた時に何かアドバイスなどできることをやるのだと語った。
湯浅と繋がりを持ったことで社会復帰できた人も居る。高校卒業後に詐欺と窃盗を繰り返していた男性は23歳で逮捕され2年半刑務所で暮らし服役した。詐欺行為を5年に渡り繰り返した男性は指示役であり、多い時には月1000万円以上入手していた。現在の男性は配送業をしつつなんとか生活しており、家を借りる時には数件断られたなどと明かした。男性は友人たちとも縁が途切れ、孤立していた頃に湯浅の存在を知り、集まりに参加するようになり新た繋がりを得た。
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- 進藤龍也
再び元受刑者たちが堂々と歩けるように支援し続ける湯浅は、その物事を投げ出さずに向き合っていれば時には逃げ出してもよく、自分でも社会復帰できたのだからなどと語った。
次回予告。