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オープニング映像。
少子化などによって自衛隊では隊員不足が深刻な課題となっているなか、北朝鮮、ロシア、中国などが軍事活動を活発化。日本を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しいと評されるなかで、岸田政権は防衛力強化に舵を切った。より幅広い任務を双肩に背負うこととなる。
国土の多くが砂漠で覆われているジブチ共和国には自衛隊が海外に持つ唯一の拠点がある。海上自衛隊の部隊の任務はソマリア沖での海賊への対応で、空、海から監視活動を行っている。パイロットである大野瑠華3尉の1回のフライトは8時間に及び、昼食はコックピットでとりながら視線は窓外に向けられていた。陸上自衛隊は拠点、隊員の安全を守るため、警備などにあたっている。上述した拠点は2011年に開設され、海賊に関する事案は減少した。
中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の拠点の1つとして、ジブチ共和国を重視している。自衛隊の拠点から車で約30分の場所に中国軍の基地があり、治安情報の共有など一定の協力関係がある。また、安保3文書により、ジブチの拠点は在外邦人などの保護・輸送としても活用すると明記され、訓練も行われている。アフリカ北部のスーダンで武力衝突が起きると、政府はジブチ拠点に輸送機などを派遣。スーダンから希望する邦人、その家族の退避を成功させた。今、自衛隊が担う任務は増え続ける一方、ある問題が深刻化している。
今、自衛隊が担う任務は増え続ける一方、人材不足が深刻で、防衛省の有識者会議の報告書には「高度な装備品を運用する人材確保がままならなければ、防衛力を発揮することはできない」と記されている。7月、夏休み中の高校生、大学生が自衛隊を体験するイベントが東千歳駐屯地で開かれ、約240人が集まった。定員数が約24万人に対して、不足しているのは約1万6000人だが、少子化を考えると、人材はより減っていくことは必至。さらに部隊内でのセクハラ、パワハラ問題の表面化、候補生による銃撃事件など隊員募集に逆風となる事案が相次ぐ。それでも、隊員たちは積極的に話しかけ、高校生からの質疑に丁寧に答えるなど、勧誘活動を行っていた。自衛隊では隊員不足も考え、最新鋭の護衛艦も導入している。
当番組では最新鋭の護衛艦「くまの」の内部を取材。従来は紙の海図で船の位置を確認していたがデジタル化され、戦闘指揮所では操舵室から見える景色をモニタリングできるので見張りの隊員を削減している。乗組員は200人ほど必要だが、約90人で運航可能。それでも一定数の護衛艦は必要な上、人数が少ないなかで1人が何役もこなさなくてはいけないという。ジブチ共和国にある自衛隊の拠点で活動する大野瑠華3尉にとって至福のひとときは家族との電話で、家族は複雑な思いを抱えていた。
「NNNドキュメント」の次回予告。