小泉農水大臣は、「無制限に放出する」としている政府の備蓄米が無くなった際の対応について「海外からの緊急輸入も選択肢だ」と打ち出した。事の発端は、きのうの国会。小泉大臣は「去年に比べ営業利益が5倍になった会社がある」と指摘し、コメの卸業者に矛先を向けた。さらに「鳥インフルエンザで卵がない時はブラジルから輸入し、キャベツが高騰したときは中国含め海外から安いキャベツを入れていた。コメはどうなんだといったときに、聖域化やタブー視があった」などと述べ、攻勢を強めている。街のスーパーでは、コメの袋がほとんどならんでいなかった売り場が、先月末にはびっしりと並ぶ現象が起きていた。秋田県でコメの生産から加工、販売までを行う農家の涌井徹さんは、最近ある異変を感じているという。一般的にコメはJAなどの集荷業者から卸業者を経てスーパー等の小売店に並ぶが、その流れとは別に卸業者同士で「スポット取引」と呼ばれる取り引きが行われている。涌井さんに届いたデータでは、このスポット取引の価格が値下がりしているという。農水省は、この「スポット価格」がこれまで高い値段で推移してきたことがコメの価格が高騰した要因の1つだと分析している。涌井さんは「安い備蓄米が並べば4500円のコメは売れなくなる。小売は値下げを卸に要望し、卸がさらに値下げを要望するので、止まらなく下がる」などと指摘した。高止まりから転じてコメの価格が下る可能性が出てきたが、涌井さんは生産者としては複雑な心境を抱えていた。