取材に当たっている社会部の富田記者の聞く。被害を受けた人が声を上げられ、守られる仕組みが重要。国内人権機関では具体的にはどんな対応がされるのだろうか。この機関は政府から独立し、有識者や弁護士などのメンバーで構成され、当事者が名前や立場などを外部に出すことなく相談することができる。その声に基づいて迅速に調査を行い対策を講じるよう、例えば国や自治体に勧告などを行う。実際に海外では子どものいじめの問題や職場でのハラスメントなどに対応しているということだ。また、被害者の救済、あとは人権教育なども行うとされている。当然これだけで人権侵害やひぼう中傷に関する問題すべてが解決するわけではないだが、まずは声を上げやすくするという意味では大事な仕組みになると思う。日本政府に対しては20年以上前からたびたび設立の勧告がされていたが、法務省は個別の法律によって人権救済に対応しているなどとする見解を示し、これまで見送られてきた。今回、報告書で改めて指摘されたことを受けて法務省はこれまでの議論も踏まえて設立について引き続き検討していきたいとしている。亡くなった男性のご遺族からは社会が変わっていってほしいという切実な声もあった。この性加害問題の被害者に限らず、差別やハラスメントなどさまざまな問題で被害者が声を上げたことでさらなる被害を受けるケースも見られる。勇気を出して声を上げた人たちが守られ、その声を改善につなげていく環境作りというものが必要だと強く感じた。不安や悩みを抱える人の相談窓口は厚生労働省のホームページなどで紹介していてインターネットで「まもろうよこころ」で検索することもできる。電話での主な相談窓口は「よりそいホットライン」や「こころの健康相談統一ダイヤル」がある。