家族の介護や世話などに追われ子どもらしい生活を送れていないいわゆるヤングケアラー。これまで法律上の明確な規定がなく支援も地域によってばらつきがあったが、きのう国会で成立した改正法で、ヤングケアラーを国や自治体が支援を行う対象とすると明記された。長野県に住む美齊津さんは、母親が48歳で若年性認知症を発症し、学校に通いながら世話を続けたヤングケアラーだった。当時、公的な支援はなく、相談できる相手もいなかった。きのうの参議院本会議で成立した子ども若者育成支援推進法の改正案では、ヤングケアラーを家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども若者と初めて明記した。そのうえで、国や自治体が支援を行う対象とするとしている。こども家庭庁が昨年度行った調査では、およそ30%の自治体に支援の取り組みがなかった。品川区は昨年度、相談窓口を設け、区立の小学校と中学校に通う子どもたちに区が配布している学習用のタブレット端末に相談対応の仕組みを導入した。実際に支援につながった事例もあったという。品川区では、法律の改正によって国による後押しに期待したいとしている。美齊津さんは、今回の法律の改正によって国や自治体にとどまらず、社会全体で支援の機運が高まることを期待している。