アカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門を受賞した映画『実録 マリウポリの20日間』。制作したのはAP通信のカメラマンのムスティラフ・チェルノフ監督。ロシアの攻撃にさらされた人々など生々しい現実を克明に記録している。チェルノフ監督は侵攻直後にマリウポリに入り、20日間撮影を続けた。その映像は世界中に配信された。チェルノフ監督は「撮影は難しかった。覚めることのない悪夢を見ているような気分でした。もし、私が撮影しなければ何が起こっているか誰にも分からなくなってしまう。私は撮影の重要性、必要性を感じていました」と語る。映画には人々が助け合う様子や出産の様子も盛り込んだ。チェルノフ監督は「医師たちは“病院で人が死んでばかりだから出産は奇跡だ”と言いました。その瞬間私は“人生は続いていく”と感じた。過酷な環境下で知らない人どうしでも助け合うのは感動的なことでした。その希望の気持ちこそ、私が映画を通して観客に伝えたかったことです」と語った。