札幌市の円山動物園は北海道初の動物園として1951年に開園した。絶滅危惧種アジアゾウの展示が人気。2022年10月、アジアゾウの一頭に妊娠が発覚したが、これまで日本でアジアゾウが無事出産できたのは16例しかなかった。円山動物園にゾウが初めてやってきたのは1953年。花子と名付けられ、ほかのメスと一緒に飼育されていた。花子は2007年に亡くなって以来、円山動物園にゾウはいなくなった。2018年に群れで飼育しようと東京ドームより広いゾウ舎を建設した。野生のアジアゾウは20頭ほどの血縁関係のあるメスだけで群れを作って生活している。2018年11月にミャンマーからオス1頭とメス3頭を迎え入れ、群れでの展示と繁殖を目指す挑戦が始まった。ゾウ舎は屋内にも砂を敷いたことで、ゾウの砂浴びが見られるようになった。しかし砂にしたことで飼育員の作業は大幅に増加した。またゾウには退屈が大きなストレスになってしまうといい、高い場所に吊るすなどエサが簡単に取れないようにした。すると転がした木の上に足をのせて器用にエサを食べる姿が見られた。2022年4月にメスのパールの体に変化が見られ、10月にエコー検査をして妊娠していることがわかった。ゾウには呼吸や起立を促すために子どもを蹴る習性があると考えられている。最悪の場合パールが赤ちゃんゾウを殺してしまう可能性も考えられた。2023年8月19日にパールは赤ちゃんを出産し、起立を促した。1時間後には授乳もしていた。赤ちゃんゾウはタオと名付けられた。9月15日に一般公開が開始された。円山動物園はそれぞれが柵越しの放飼場で過ごしているパールとタオの親子、そしてもう1つのニャインと母の親子を同居させて群れを作りたいと考えた。2023年10月25日、ニャインとパール親子を隔てるゲートを開けてニャインだけ中に入れた。パールはニャインがタオに触れるのを許した。同居は15分ほどで終了した。徐々に慣らして来年にはニャインとの週日同居を開始する予定。