この学校では、これまでに500匹以上のオランウータンを野生に帰してきた。しかし、森へ戻れないオランウータンもいる。シェルトン(12歳)は両目が見えていない。コプラル(13歳)は事故で両腕を失った。彼らが不自由になった原因は人間。オランウータンが暮らす森のすぐ横に広がるのはアブラヤシの大農園。実からとれるパーム油は洗剤や食品などの原料として人々の生活に不可欠。こうした農園を作るため、島では大規模な伐採が進み、原生林の7割が失われている。食べ物を求めて畑に現れたところを村人に殺されたり、子どもがペット目的で密猟されたりする悲劇が起きている。彼らは子どもの頃から学校で一緒に学んできた同級生。自由に外を歩けないシェルトンのもとへコプラルは毎日遊びに通う。