順天堂大学特任教授・藤原帰一さんの解説。「白パンと独裁者」は自然が美しい映画だが、観てると自然の広がりに恐ろしさも感じさせられる。カメラは少年の視点、視界の広さに合わせている。映画のキーワードは「ほんとうのことを知る」。少年が現実に出会う。果てしなく広がるアムルム島の自然、ヒトラーが死んだのも、ドイツが敗戦寸前だということ、ナチスの独裁も戦争犯罪も現実。少年の母親は現実を受け入れることを拒んでいる。母親のために白パンを無理をして求めて回る中で少年はほんとうのことを知ることを強いられていく。強制収容所の責任者の家族を描いた「関心領域」の突き放したような表現とは違い、人間を見つめていて目線は温かく、少年が現実を受け入れることは少年の人生の始まり。「白パンと独裁者」は来月7日から公開。次回の放送予定は9月18日。
