パリ五輪の開会式が行われるセーヌ川は水質問題で揺れている。アーバンスポーツの会場、コンコルド広場。ハンドボール、バレーボールのパリ南アリーナ。さらにビーチバレー会場(エッフェル塔競技場)など、競技場の建設もいよいよ大詰めを迎えている。開会式の際選手たちを乗せた船の到着地点に、ボートを係留し生活していた男性は、一時的に10キロほど下流の郊外にボートを移転した。セーヌ川はオープンウォータースイミングやトライアスロンの会場でもあり、水質問題がいまだ大きな懸念材料となっている。パリ市はおよそ155億円をかけて巨大な貯水槽を建設し、下水が川に流れ込むのを防ぐ対策を取った。IOC国際オリンピック委員会は競技の実施に絶対の自信を見せている。こうした中大会組織委員会のエスタンゲ会長は今月5日、地元メディアに水質が適さない場合の代替案を明らかにした。オープンウォータースイミングをカヌー会場で行い、トライアスロンの水泳は中止するというもの。それでもフランス政府はセーヌ川の水質改善は大会のレガシーになると主張していて、ウデアカステラスポーツ相は13日、みずからセーヌ川を泳ぎ安全性をアピールした。パリのイダルゴ市長も今週中にも泳ぐ意思を示している。今後もセーヌ川の水質問題からは目が離せない。