先月10日、フランス・マクロン大統領とイギリス・スターマー首相が会談し、核による抑止力に関して連携を強化することで合意したと発表した。この合意はイギリスとフランスがそれぞれ独立した核抑止力を保ちつつ、協力体制を構築するというもの。ヨーロッパの安全保障に両国が連携して対応することで地域の平和と安全をより確実に守る狙いがある。ロンドンで核兵器に関する戦略を研究している国際戦略研究所軍事技術・戦略・軍艦部門の責任者のアレクサンダー・ボルフラス博士は「今回の動きで念頭に置いているのはロシアでしょう。アメリカの態度がどうであろうと、ヨーロッパは独自の抑止力を持っているというメッセージなのです。一番の目的はヨーロッパは一枚岩だという姿勢を強調することにある」と話した。ヨーロッパの中で自国で核を保有しているイギリスとフランス。イギリスは早くから核兵器に注目していたチャーチル首相のもと、1952年に核実験に成功し、アメリカ・ソ連に次ぐ世界3番目の核保有国となった。フランスはアメリカへの依存を減らすため独自で核開発を行い、1960年に世界で4番目の核保有国となった。イギリス、フランスが連携する核の抑止力についてボルフラス博士は「比較的小規模な核保有国がバラバラに抑止を試みるのではなく、緊密に連携することでヨーロッパの核抑止力はより効果的になる。だが、アメリカが提供するような核の傘に比べ説得力にかけるというのが実情」などと話した。ヨーロッパでロシアの脅威が高まる中、イギリスとフランスが主導する「核の傘」の行方は。