今回のASEANの一連の会議の大きなテーマは、厳しさを増しているアジアの安全保障環境。過去に防衛大臣を務め、安全保障分野に強い石破総理大臣が初めてとなる首脳外交の舞台でどう存在感を示すかが注目されている。一連の会議では中国が海洋進出を強める南シナ海などの情勢、軍と民主派勢力などとの戦闘で混乱が続くミャンマーの情勢、核とミサイル開発や拉致問題を含む北朝鮮への対応などをめぐり意見が交わされる。焦点は、こうした懸案についてASEANの10か国に加えて、日米韓3か国や中国など関係国が事態打開に向けた道筋を示せるかどうか。南シナ海をめぐっては8月に中国海警局の船がフィリピンの船に衝突したのに続き、先月は西沙諸島海域で操業中のベトナムの漁船を中国側が制圧して乗組員にけがをさせ、ベトナム外務省が中国側に抗議した。NHKが入手した議長声明の草案では「相互の信頼と信用を高めるとともに 平和と安定に影響を与えるような行動を自制する必要がある」といった文言が記されていたが、文言をめぐって加盟国の間で意見の対立が表面化している。経済分野を中心に中国の影響力は強まっていて、カンボジアは海軍基地に中国艦艇の停泊を認めるなど中国との軍事協力を進めているほか、ラオスも中国寄り。タイとマレーシアは、中国とロシアが主導するBRICSへの加盟を申請している。
米国は、大統領選挙から撤退したバイデン大統領が去年に続いてことしも出席を見送った代わりに、ブリンケン国務長官が派遣された。ASEAN側からは落胆の声もあるが、そんな中で韓国の動きが注目されている。ユン・ソンニョル大統領はきのう、訪問先のシンガポールで「インド太平洋地域の緊張と葛藤は主に海で起きている」と演説し、中国を名指しすることは避けつつも自制を促す姿勢を示した。韓国にとって中国は最大の貿易相手国であり北朝鮮の後ろ盾ということで影響力があり、歴代の政権は中国と摩擦を避けようとする姿勢が目立ったが、ユン政権は日米と足並みをそろえる積極姿勢に転換。安全保障は米国、経済は中国という「安米経中」と呼ばれる米中両にらみの外交姿勢からの決別を打ち出している。石破総理大臣は先の所信表明演説で、「現下の戦略環境のもと、日韓が緊密に連携していくことは双方の利益にとって極めて重要だ」と述べ、岸田前総理大臣がユン大統領との間で築いた信頼関係を礎に、両国の強力を発展させる考えを強調した。きょうの首脳会談は来年の国交正常化60周年に向けて後戻りしない日韓関係を築いていくうえで、新たな一歩となる。日本としては、ASEANが中国に寄り過ぎるのを防ぐためにも両国に米国を加えた3か国で足並みをそろえて、積極的に関与していくことが求められる。
米国は、大統領選挙から撤退したバイデン大統領が去年に続いてことしも出席を見送った代わりに、ブリンケン国務長官が派遣された。ASEAN側からは落胆の声もあるが、そんな中で韓国の動きが注目されている。ユン・ソンニョル大統領はきのう、訪問先のシンガポールで「インド太平洋地域の緊張と葛藤は主に海で起きている」と演説し、中国を名指しすることは避けつつも自制を促す姿勢を示した。韓国にとって中国は最大の貿易相手国であり北朝鮮の後ろ盾ということで影響力があり、歴代の政権は中国と摩擦を避けようとする姿勢が目立ったが、ユン政権は日米と足並みをそろえる積極姿勢に転換。安全保障は米国、経済は中国という「安米経中」と呼ばれる米中両にらみの外交姿勢からの決別を打ち出している。石破総理大臣は先の所信表明演説で、「現下の戦略環境のもと、日韓が緊密に連携していくことは双方の利益にとって極めて重要だ」と述べ、岸田前総理大臣がユン大統領との間で築いた信頼関係を礎に、両国の強力を発展させる考えを強調した。きょうの首脳会談は来年の国交正常化60周年に向けて後戻りしない日韓関係を築いていくうえで、新たな一歩となる。日本としては、ASEANが中国に寄り過ぎるのを防ぐためにも両国に米国を加えた3か国で足並みをそろえて、積極的に関与していくことが求められる。