経済ジャーナリストの後藤達也が解説。トランプ政権による新たな相互関税の発動は8月7日。エール大学がまとめたアメリカの関税を見ると、過去100年間でみても最高に近い。4月の予告と比べると少し低くなったので世界経済への悪影響は和らいだとの見方もあるが、いずれにしても急激な転換。関税分を販売価格に上乗せするとなればアメリカの消費者の負担になる。日本の輸出企業などが値下げすることによって関税分を相殺する形になれば企業側の負担になる。きのうイタリアのフェラーリの株価は、売り上げ高見通しが投資家の期待に沿わず、12%も急落。富裕層は関税分の値上げなどはそんなに気にしないとの見方もあったが、それを覆す内容。日本の輸出車価格の推移を見ると、今年4月頃からぐっと下がっている。関税分を輸出企業が負担する形で値下げしている構図。アメリカからの視点では、関税による収入が増え、貿易相手国が値下げしてくれるのでインフレは強くならない。さらに交渉の過程で対米投資も引き出せる。アメリカ経済は追い風になり、2025年の成長率は2%を超えるのではないかとの見方も増えている。
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