富山・富山市の神通川流域で発生したイタイイタイ病が全国で初めて公害病に認定されたのは1968年。今年で55年が経ったが、去年8月に新たな患者が認定されるなど今も尚苦しんでいる人がいる。一方で、イタイイタイ病は過去のものとして記憶が風化してしまうのではないかという懸念もある。こうした中、イタイイタイ病患者の本当の痛みを知ってほしいと、患者に代わって生前の証言を語り継いでいるのが、富山県在住の金澤敏子さん。イタイイタイ病の原因は岐阜県の神岡鉱山から川に流されたカドミウム。富山市の神通川流域の人たちは長年カドミウムに汚染された水を飲んだたりその水を使って育った米を食べたりして体内に蓄積。はじめは腎臓障害が出て、次第に骨が脆くなり、耐えることができないほどの激痛に苦しめられた。金澤さんは2年前にひとり語りを始め、これまでに県内31か所を巡った。くしゃみをしたり起き上がろうとしたりしたら、体の骨がポキンと折れるなどと語っていた。