去年イップスに陥ったDeNA・徳山壮磨投手は高校時代、大阪桐蔭のエースとして甲子園で優勝。早稲田大学でも主力として活躍するなどアマチュア球界で常にトップを走ってきた。DeNAにはドラフト2位で入団。大きな期待を受け1年目で1軍キャンプに抜てきされたが、そのときのブルペンで違和感に襲われた。2年目の春のキャンプで症状はピークに達し、練習では大きくストライクゾーンを外れるボールが続いた。イップス特有の症状で、筋肉が硬直し体の制御が利かなくなっていた。周囲の評価などを気にし過ぎた結果イップスになった徳山投手は、それでも自分を取り戻したいと技術面を見直すことから始めた。人目を気にしなくてもいいよう誰もいないブルペンで練習を行い、球速を気にせずストライクを投げるトレーニングなどをコーチと共に繰り返した。足を上げて投げていた投球フォームもクイックモーションに変えた。メンタル面ではチームのメンタルコーチや外部の医師にも相談した。少しずつイップスを克服していった徳山投手は、ことしのキャンプでは周囲の目を気にせず力強いボールを投げ首脳陣にアピール。初の開幕1軍をつかみ取った徳山投手は、開幕第2戦の9回に公式戦初マウンドが巡ってきた。空振り三振で締めくくりプロ野球選手としての第一歩を踏み出した。イップスについて徳山投手は「決して立ち直れないわけではないことを伝えたい」と語った。