神奈川県大磯町では銃やわなによる駆除ではなく、住民が主体となってイノシシを撃退する取り組みを始め、注目を集めている。大西寛美は大磯町で暮らしている。退職後、暖炉付きの物件に憧れて11年前に引っ越してきたが、待っていたのはイノシシと隣合わせの生活。イノシシは住宅地に出没し、畑を荒らすという。対策をしてほしいと役場の担当者に何度も要望したが、担当者は困り果てていた。箱わなで駆除したが、被害は減らず、住民からの苦情は増えるばかりだった。町が思いついたのは、住民たちを巻き込んで一から対策を学ぶことだった。専門家を招いた勉強会を開いてみんなで参加。わかったのは、身をつけたまま放置された木々が格好の餌場になり、耕作放棄地の草が潜み場になること。地区の住民たちは土地の協力を得ながら対策のかなめとなる草刈りを行うようになった。年2回、10年間の草刈りを続けた結果、地区で捕獲されたイノシシは15頭から0~1頭となった。大磯高校生物同好会の生徒が現場周辺に設置したセンサーカメラの管理を担ってくれるようになったという。