日本選手の活躍が目覚ましい今回のパリ五輪だが、この舞台に挑むのは選手たちだけではない。選手とは違う立場で、もう一度五輪を目指した2人の元アスリートを取材。2004年アテネ五輪90キロ級銀メダル・泉浩さんは、今大会、柔道男子エジプト代表の監督として、オリンピックの舞台に戻ってきた。和泉監督は「戻ってこられるとは思っていなかったので、感慨深いものがある」と語った。ことし1月、選手の強化を目指すエジプトからの要請を受け、監督に就任。日本で行われた直前の合宿では、覚えたアラビア語を使いながら指導。組み手など、基礎的な能力の強化に取り組んだ。パリ五輪には2人の教え子が出場。2人とも初戦敗退。監督として初めての五輪は悔しい結果となったが、すでに4年後を見据えている。和泉監督は「金メダルをとれるような選手をつくっていきたい」と語った。五輪にレフェリーとして帰ってきた人も。桑井亜乃さんは、世界のラグビー界で、初めて選手とレフェリーの両方で五輪に参加。2016年のリオデジャネイロ五輪。桑井さんは7人制ラグビーの日本代表として出場し、トライも決めた。3年前、31歳で現役を引退。選手とレフリーで再び五輪を目指すことにした。世界で20人ほどしか選ばれない五輪のレフェリー。その運動量は、選手にも引けを取らない。桑井さんは社会人チームの練習に参加するなど、体力面を強化。今回、再び夢の舞台に立った桑井さんはニュージーランド×中国で主審を任された。桑井さんは「五輪という特別な舞台は、選手の時とは変わらない」と語った。7人制ラグビーは全日程を終えていて、桑井さんは10試合でレフェリーを務め、このうち2試合で主審を務めた。エジプト柔道男子代表・泉監督は、すでに選手たちとカイロへの帰路に就き、4年後に向けてすぐに合宿に入るという。