睡眠学者の柳沢正史は敬虔なクリスチャンでもある。日本人は世界一睡眠時間が短い。26年前、覚醒と眠りを制御するタンパク質を発見。去年は国際的な賞をダブル受賞して、ノーベル賞も噂されている。今や睡眠習慣を整えるゲームアプリの監修まで行う。時には国へも物申す。だが、根本的な疑問「なぜすべての動物が眠るのか」「眠気ってそもそも何なのか」は解決していない。拠点は筑波大学に設けられた世界最大規模の研究所。2012年の発足時から、柳沢は睡眠に特化した研究施設の一切を任されてきた。睡眠の研究で取り分け大きな役割を担っているのがマウスだ。ラボでは2万匹近くが飼育されている。寝ても寝ても眠たいスリーピー変異マウスを手がかりにして眠気の正体に迫る研究を進めている。
研究者たちには週に一度、論文発表の場が与えられる。研究者310人の4割が海外から来ている。「自分の仮説を目の前のデータより上に置いてはならない」が柳沢の口癖だ。仕事は次から次に、時間を惜しむように歩くスピードも早い。柳沢が開発したのは睡眠時の脳波を誰でも手軽に記録できる装置。自分の睡眠を客観的に把握すると睡眠に対する意識が変わり改善につながりやすいという。
26年前に発表された柳沢の論文はオレキシンの発見にまつわるものだった。ラットの脳、視床下部から眠りに落ちると一気に減少する脳内物質を見つけた。そのタンパク質・オレキシンは覚醒状態の維持に役立っていた。突然睡魔に襲われて眠り込んでしまうナルコレプシーの患者に、柳沢が発見したオレキシンを投与すると症状が改善することがわかってきた。逆にオレキシンの作用を抑える不眠症治療薬も実用化されている。自宅までは研究拠点から車で10分。家の中は暗く、夕方以降は強い光を見ないようにするとよく眠れるという。妻の裕美さんも循環器を専門とする医学研究者。大学で1年後輩の裕美さんとは学生結婚。挙式前に揃って洗礼を受けたという。筑波大学医学部の院生時代、血圧を上昇させるホルモン・エンドセリンの発見で世界的に評価皿、31歳でアメリカの大学へ。マウスを観察中、偶然眠りと関わるオレキシンを発見した。日本に戻った最大の理由は睡眠の研究が内閣府の最先端研究開発プログラムに選ばれたから。教授や助教などの上下関係はここにはない。主任とそのチームがいくつもあり、専門領域の垣根を取り払った共同研究も容易いという。
研究者たちには週に一度、論文発表の場が与えられる。研究者310人の4割が海外から来ている。「自分の仮説を目の前のデータより上に置いてはならない」が柳沢の口癖だ。仕事は次から次に、時間を惜しむように歩くスピードも早い。柳沢が開発したのは睡眠時の脳波を誰でも手軽に記録できる装置。自分の睡眠を客観的に把握すると睡眠に対する意識が変わり改善につながりやすいという。
26年前に発表された柳沢の論文はオレキシンの発見にまつわるものだった。ラットの脳、視床下部から眠りに落ちると一気に減少する脳内物質を見つけた。そのタンパク質・オレキシンは覚醒状態の維持に役立っていた。突然睡魔に襲われて眠り込んでしまうナルコレプシーの患者に、柳沢が発見したオレキシンを投与すると症状が改善することがわかってきた。逆にオレキシンの作用を抑える不眠症治療薬も実用化されている。自宅までは研究拠点から車で10分。家の中は暗く、夕方以降は強い光を見ないようにするとよく眠れるという。妻の裕美さんも循環器を専門とする医学研究者。大学で1年後輩の裕美さんとは学生結婚。挙式前に揃って洗礼を受けたという。筑波大学医学部の院生時代、血圧を上昇させるホルモン・エンドセリンの発見で世界的に評価皿、31歳でアメリカの大学へ。マウスを観察中、偶然眠りと関わるオレキシンを発見した。日本に戻った最大の理由は睡眠の研究が内閣府の最先端研究開発プログラムに選ばれたから。教授や助教などの上下関係はここにはない。主任とそのチームがいくつもあり、専門領域の垣根を取り払った共同研究も容易いという。