6434人が亡くなった阪神淡路大震災の発生から30年がたった。大震災で認識されたのは自助共助の大切さ。自分のことは自分で守りほかの人と助け合おうということで大震災の教訓をもとにした防災教育が世界で広がっている。このうち10年前に大地震が起きたネパールでは今神戸のNPOの支援を受け防災教育が根づき始めている。ネパールの首都カトマンズ近郊にある学校。子どもたちが取り組んでいるのは毛布を担架の代わりにしてけが人を運ぶ訓練。災害時に身を守る行動や必要な物資を学べるクイズゲーム。これらはすべて阪神淡路大震災の教訓をもとに考えられたもの。地震が多いネパール。2015年4月の大地震では9000人以上が犠牲となった。学校がある地区でも建物が倒壊するなどの被害が出た。校長のアブハアワレさん。防災教育に取り組み始めたきっかけは大地震のあとネパールで開かれた防災を考える講習会。講習会を開いたのは防災教育に取り組んできた神戸のNPO。子どもも地域の防災を担う大きな力になるという考えに強く共感した。ネパール側のニーズを知った神戸のNPOは阪神淡路大震災の教訓をもとに開発した防災教育のプログラムを提供することにした。NPOが学校側と一緒に考えたのがネパールの子どもたちに楽しく防災を学んでもらう仕掛け。学校で盛んなクラブ活動の時間を活用して授業とは違う雰囲気で体も動かしながら学ぶ。子どもたちが得た知識は家庭を通じて大人にも広がっている。クラブに参加しているニコラスさんと父親のナラヤンさん。ニコラスさんのクラブ活動での様子を聞いて防災への関心を強めた。非常用持ち出し袋。懐中電灯に、日持ちするおやつ。避難するときに必要なものが入っている。ニコラスさんがクラブ活動で学んだ知識の1つでネパールではあまり知られていない。子どもたちが学んだ知識はさらに地域へと広がっている。今月10日に開かれた防災イベント。年に2回、学校が開いていて、この日は子どもたちと保護者のほか、地域の住民などおよそ250人が参加した。ニコラスさんなど子どもたちはグループに分かれて、クラブ活動で学んだ知識をみずから大人たちに伝えた。神戸のNPOによると、ネパールで阪神淡路大震災の教訓をもとにした防災教育のプログラムを取り入れた学校はこの10年で当初の5倍に当たる50校に増えたということだ。また、ネパールのほか、フィリピンやチリなど災害の多い国でも導入する動きが広がっていて、NPOでは現地の学校などと連携しながら世界中で防災の担い手を育てていきたいとしている。