米国東海岸の港湾労働者の労働組合ILAと使用者団体のUSMXとの間で賃上げなどをめぐる交渉が決裂し1日から、全米36か所の港湾でストが行われる事態となっていた。ストが長引けば物流の物価の高騰で経済への大きな影響が懸念されていたが、今回、ILAとUSMXは賃上げについて暫定的に合意し、米国メディアは6年間で62%の増額と破格の条件を伝えている。短期間で収束した背景には大統領選挙がある。選挙への影響を最小限に抑えようと、バイデン政権が使用者側であるUSMXにプレッシャーをかけてきたということがある。大統領選の勝敗を決めるといわれる激戦州7州の支持率はハリス氏が48.3%、トランプ氏が48.4%ときっ抗し、非常に激しく競り合っている(リアルクリアポリティクス)。今回のストが一時停止となったことでハリス氏にとっては、ひとまず選挙での大きなリスクを回避できたといえそう。ただ、緊迫する中東情勢や200人以上の死者を出したハリケーンへの対応もあり新たな火種もあり、情勢はいまだ不透明。