1週間後に迫った米国大統領選挙について。製造業が盛んなミシガン州は、選挙の鍵を握る激戦州の中でも特に重要とされている。両者の最新の支持率はハリス氏が48.1%で、トランプ氏が47.8%と、極めてきっ抗している。製造業で働く人たちが、今回の選挙とどう向き合っているのか取材した。かつて世界最大の自動車の街として栄えたミシガン州。今では多くの工場が閉鎖されて、人件費が安いメキシコなどに移り、地元の雇用も失われた。このミシガン州で民主党のハリス氏が訴えるのは、労働組合の重要性。米国を築き上げてきたと強調する。バイデン大統領も“史上最も組合を大切にする大統領”と訴え、自動車業界の組合が賃上げを求めたストライキにも参加した。この組合は今回の選挙で、ハリス氏への支持を正式に表明している。組合員の1人、ジョンミルバーグさんは、3世代にわたって自動車業界で働き、今後もハリス氏の支えを期待している。一方、トランプ氏を支持する労働者の団体を独自に立ち上げた人もいる。大手自動車メーカーで30年以上働いてきた、ブライアンパネベッカーさん。ハリス氏を支持しない理由の一つがEVの支援策。部品の供給などで中国への依存度が高いEVを普及させることは、米国での労働者の雇用を奪いかねないと懸念している。こうした不安の声にトランプ氏は「すべてのビジネスは中国へ流れ、2〜3年もすれば自動車の労働者はいなくなる。(私なら)30〜40年前のレベルまで雇用を回復させる」と述べ、パネベッカーさんも壇上に招かれた。パネベッカーさんの団体のメンバーは、2000人近くに増えている。ミシガン州はもともとは民主党が強い地盤だが、2016年の選挙は共和党、2020年は民主党が奪い返していて、今回の結果が注目されている。