ロシアに隣接するエストニアは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて今年3月、対人地雷の使用を禁止した国際条約から脱退する方針を発表するなど警戒感を強めている。エストニアで5年に1度開かれる“歌と踊りの祭典”は、エストニアの伝統的な行事で150年以上続いている。ロシアの侵攻が続く中、エストニアでは歌が再び注目を集めている。“歌う革命”に参加し今回の式典に指揮者として参加したイングリッド・クルビッツさんを取材した。クルビッツさんは「指揮することはとても名誉なこと。歌で思いを伝えたい」、「ソビエト時代は歌える歌が制限されていた」などと述べた。ゴルバチョフ氏の登場が転機となり、民主化の機運が高まり許容される民族的な歌が増えていったという。ロシアによる侵攻後、初めて行われた今年の祭典。クルビッツさんの危機感は集まった人たちも同じように抱えていた。観客は「私達はさらなる結束が必要だ」などと述べた。クルビッツさんが迎えた本番では、1800人の巨大な女子合唱団を指揮した。クルビッツさんは「私たちは小さい民族だからアイデンティティーを見つけなければならない」などとコメントした。エストニアでは合唱団や吹奏楽団が活動していて、音楽が根を下ろしている。エストニア文化省・アリクサール次官は「この祭典はロシアに支配されていた時を含めて開催され困難な時も私たちを結束させてきた」と話している。リトアニアはロシア国境につながる橋にコンクリート製のブロックを配置するなど、独自の国境防衛に力を入れている。ラトビアは去年、18年ぶりに徴兵制を復活させた。
