パレスチナのガザ地区では、およそ9割の学校が被害を受けるなど教育現場も壊滅的な状況になっている。こうした中、広島で平和学習の現場を視察した1人のパレスチナ人の教師が子どもたちに平和への思いを託し教育を続けている。ガザ地区南部のハンユニス。激しい攻撃を受けた街は一面がれきの山となっている。子どもたちが通う学校も被害を受けた。ここでは仮設のテントで授業が続けられている。このテント教室を運営するハムダーンアガーさん。戦闘が始まる前は高校で教べんをとっていた。家族や家、通い慣れた学校を失った子どもたち。多くが心に傷を負っている。ハムダーンさんが活動を続ける中で大切にしているのが去年訪れた広島での経験だ。視察した小学校の平和学習。ここで子どもたちがみずから平和について語る姿が印象に残ったということ。戦渦が続くガザの子どもたちにも平和を現実のものとして語ってもらいたい。ハムダーンさんは広島の視察でそうした思いを強くしたということ。教育の場を失ったガザ地区。それでもハムダーンさんはなんとか子どもたちの交流の場を維持しようとしている。お互いを理解し、学び続けることこそが平和への思いを育むきっかけになると考えているから。戦禍に見舞われ、元の姿を失ったガザ地区。ハムダーンさんは次世代を担う子どもたちこそが平和に向けた一歩を踏み出してくれると信じている。