イスラエルとハマスがようやく停戦で合意した。おととし10月に戦闘が始まってからガザ地区、イスラエル双方で多くの民間人が巻き込まれて犠牲になり紛争は、レバノンなどにも拡大しただけに安堵感が広がっている。バイデン大統領は記者会見で「合意は、みずからが去年5月に提案した案に沿ったものだ」と胸を張った。合意に至った要因は、イスラエル・ネタニヤフ首相が米国のトランプ次期大統領の予想外の圧力に屈したという見方が出ている。バイデン政権の内情を詳細に報じた米国の著名な政治学者・ボブ・ウッドワード氏の著書ではネタニヤフ首相の姿勢に対してバイデン大統領が側近に対して「ネタニヤフ首相は自分の政治的な延命しか考えていない悪いやつだ」と怒りを爆発させた様子が記されている。ネタニヤフ首相としては時間稼ぎをしながらイスラエル寄りであるトランプ氏の大統領就任を待っていたとみられていた。ところが今回の合意に向けた協議ではトランプ氏の特使も参加し英国ガーディアンによるとイスラエル側に対して「トランプ氏が合意を求めてる」という明確なメッセージを伝達しネタニヤフ首相の態度が急変したという。また、トランプ氏はハマスに対してもみずからが就任するまでに「人質を解放しなければ大きな報いを受ける」と圧力をかけていた。死角はパレスチナの将来の姿が見えていないこと。ネタニヤフ首相やイスラエルの極右政治家は2国家共存に否定的で国際法に違反するユダヤ人入植地の拡大も掲げている。トランプ氏がパレスチナの未来にどのように関与するかは不透明。