クリスマスまで1か月。街のケーキ店ではクリスマスに欠かせないケーキの原材料の値上がりに嘆いていた。生クリームは25%、チョコは15%、バターやグラニュー糖も値上がりし、メニュー価格を去年より約200円〜400円値上げしたという。値上げ幅を最小限にするため、クリスマス用の箱やプラスチックの資材を安いものに変えるなど努力をしてきたが、今年、いちごの仕入れ値も上昇。国産のいちごが1パックあたり約100円値上がり。仕入れ時期も例年より約2週間遅かった。卸売価格は3年前と比べて約4割高値になっている。愛媛県今治市の井上苺園では残暑の影響でいちごの生育が遅れ、クリスマスケーキ用の収穫量は例年の3分の1まで減る見込み。品薄で各地のケーキ店から問い合わせも増加。今年のクリスマスはいちごの争奪戦になっているという。東京・千代田区にある明治創業の老舗洋菓子店・近江屋洋菓子店では、いちごの仕入れ値が高すぎて採算が取れないため、今年はぶどうを使うことになった。クリスマス期間中はホールケーキのみを販売するが、いちごは上に乗せる分だけ使用し、中身は黄桃に変更。予約が急増しているクリスマスケーキもある。神奈川・川崎市にある川崎日航ホテルが販売する福岡県産あまおうをふんだんに使ったショートケーキ。先月からクリスマスケーキの予約受付を開始すると、去年比120%〜130%の予約数になっている。予約好調の背景には“いちご不足”が影響しているのではと話す。すでに「あまおう」の仕入れ値は約10%高値になっており、業者からは今後仕入れが困難になる見込みと言われていて、その場合は本来この冬に受け付けるはずの台数を半分に減らすかもしれないという。農林水産省によると、いちごの出荷はこれから本格化するため、今後の流通量や価格はまだ見通せないという。