別府正一郎のスタジオ解説。インド・モディ首相のロシア訪問はワシントンでNATOの首脳会議がまもなく開かれるタイミング。ウクライナを巡っては、ロシアとウクライナを支援する西側の対立、東西の対立のように見られているが、今回のインドとロシアの関係の強化の動きはより大きな構図として南北の対立との視点も持つ必要がある。南とはグローバル・サウスの国々のこと。ロシアは西側に対抗するうえでインドをはじめ中東またはアフリカなどのグローバル・サウスに接近、中国との関係も強めている。この結果、西側が経済制裁を科してロシアを国際的に孤立させようとしてもグローバルサウスの国々から同調してもらえず完全にうまくはいっていない。背景には、ヨーロッパの国々による、かつての植民地支配で行っていた人権侵害、独立運動の弾圧の記憶がある。また、現代まで続く南北間の経済格差への反発も根強くある。NATOはワシントンで発足75年の記念の首脳会議を開くが西側の結束を強める一方で南との関係をどう掴めていくのかという視点をおろそかにしたままではウクライナ情勢にしても西側の狙い通りにはいかないことを忘れてはならないといえます。