週末、神戸の花屋さんはてんてこ舞いの忙しさだった。その理由は神戸市立王子動物園のパンダ館。行列の先に設けられた献花台はタンタンへの思いが込められた花束で埋め尽くされていた。タンタンは中国・四川省で1995年に生まれた。日本では阪神・淡路大震災が起こった年。日本にやって来たのは4歳。まだ地震の傷癒えぬ神戸の町も大盛り上がり。地元商店街の会長もパンダの着ぐるみで盛り上げた。タンタン独特のまんまるな顔、胴長で愛くるしいシルエット。そして上品な動きとシャイな仕草。いつしか「神戸のお嬢さま」と呼ばれるように。その愛くるしさで人々の心を癒やすタンタンは復興のシンボルとなっていった。実はタンタンはオスのコウコウと一緒に日本にやって来た。繁殖への期待も高まったが、コウコウは生殖機能が低いことが分かった。中国へ帰ったコウコウの代わりにやって来た2代目コウコウとの間で今度は人工授精が行われた。2008年、待望の赤ちゃんが誕生。しかし、3日後に死亡してしまった。この頃からタンタンがニンジンや竹を我が子のように抱くようになった。偽育児と呼ばれる行動。苦難を乗り越える姿は2021年に心臓疾患が見つかった後も血圧の検査・聴診検査・エコー検査・心電図検査・レントゲン検査と。16年間タンタンの飼育を担当した梅元さんは「本人はすごく嫌なんでしょうけど健気にこなしてくれる。治療も頑張ってしてくれてたのでその姿はすごく尊敬しますね」と話した。神戸の町で出会った女性はタンタンへ「貴女は立派な神戸の『名誉市民』です」とのメッセージカードを用意していた。