万博開催まで2か月、テーマが「いのち」とあって世界中から先端医療が集う見込みだが、注目したのはベンチャー企業による真の再生医療と呼べる技術。指の神経を損傷した患者に人工的に作ったあるものを移植する臨床試験を行ったところ、指の感覚の回復があったという。その技術を手掛けているのがサイフューズ・鳥井蓉子。製品としての人工臓器開発を目指す企業で、国もその技術に太鼓判を押し、2年ほど前には東証グロースに上場。早速開発中の製品を見せてもらうと、一見マカロニのような人工の神経の管や血管、ありそうでなかった自分の細胞だけで作るオーダーメイドの臓器で、実物を見られること自体奇跡のような代物。なぜなら本来、細胞は水のような状態であるため、人工的に臓器のような形を組むのが非常に難しいから。では一体どうやって作り上げたのか。世界初の独自技術。剣山に細胞を刺していくことで固定し形を整えていくが、この粒上の細胞にも秘密が。これは皮膚を作る線維芽細胞を培養したもので、数年をかけ200種類もの細胞の中からたどり着いたもの。細胞同士の接着剤・コラーゲンなどを生み出す特徴を持つため、結合しやすく形をくみ上げやすいという。細胞採取後3か月で10センチほどの神経の管や血管が完成。実際の臨床試験では切れた神経を人口の神経の管で包むと、自分の細胞がベースであることから元の神経になじんでいき切断部分が修復。動かなかった指が再び動くようになったという。また人工血管にしても既存のものはポリエステル製などが多く、古くなれば感染症のリスクが高まるが、その心配もないそうだ。そんな技術を活用しすでに製品として販売されている臓器も。