今、日本の競泳は岐路に立っている。かつてオリンピックでまばゆい輝きを放ってきた日本のスイマーたち2024年パリで突きつけられたのは世界との差だった。女子では、当時17歳のサマーマッキントッシュが三冠。男子は22歳のレオンマルシャンが4種目でオリンピック新記録。東京大会後に台頭した選手たちが実力を示した。一方日本代表はロンドン大会の11個をピークにして減少し、ことしのパリ大会では銀メダル1つと、厳しい結果となった。寺川綾は「私も見ていて、1個という数に関してはちょっと寂しいなと思う部分もあるだが、やっぱり選手のほうがもちろん悔しい思いはあったと思う。国内の代表選考会にピークを合わせて、代表になるのに一生懸命になっていた分、やっぱりその分、そのあとの本番にピークを合わすのが、ちょっと難しかったのかなという選手が多く見受けられた」と分析。今後に向けての対策について「本番を見据えて、代表になるための代表選考会ではなくて、本番で戦うための選考会の準備というふうなやっぱり段階を踏まないと難しい」と指摘した。オリンピックで実施される個人種目はこのように男女合わせて28あるが、そのうち15種目は、東京大会以降に世界記録が更新されている。しかし日本記録はその間にわずか3種目しか更新されていない。世界では高速化が進む一方で、日本は伸び悩んでいるという見方もできる。寺川が現役時代に樹立した11年前の日本記録もまだ残っている。寺側は「今の選手はやっぱりオリンピックの本番でメダルを目指したいという強い思いがある。それはもちろん大切なのだが、そこにつなげるために、まずは目の前のレース、1個1個で自己新記録、自己ベストを積み重ねることが本番でまたいい結果を出すというプロセスにつながっていくと思うので、まずは目の前で出し切るということをやってほしい」と訴えた。