テーマ「迷走する再開発」。今、全国で大規模な建設プロジェクトの見直しが相次いでいる。背景にあるのが、資材価格や人件費の上昇。2023年、老朽化などを理由に50年の歴史に幕を閉じた中野サンプラザ。館内のホールはアイドルの聖地と呼ばれるなど音楽や文化の発信地として長年地域で親しまれてきた。再開発の事業者に選ばれたのは野村不動産、最大7000人を収容できる多目的ホールや住宅等オフィスなどが入る地上61階、高さ262mの超高層ビルに建て替える計画。遅くとも今月中には解体が始まる予定だったが建設費の高騰を背景に先週、計画が白紙撤回に追い込まれた。野村不動産が事業者に選ばれた2021年以降、ロシアのウクライナ侵攻や円安などで資材価格が上昇、建設費は当初見込みの2倍近くに膨らんだ。野村不動産は採算性を確保するため今年1月、ビルを1棟から2棟に変更しオフィスを減らして住宅を増やす見直し案を中野区に提出したが施設の魅力が十分ではないなどとし計画の断念を発表した。こうした建設費の高騰を理由にした再開発計画の見直しは今日本中で続々と明らかになっている。中野サンプラザについては今後、事業者を選び直す見通しだが、専門家は応募する企業が現れない可能性もあると指摘する。オラガ総研・牧野知弘さんhあ「音楽系ホールは建設費が高い施設なので基本的にあまり入れたくない、極端に住宅部分を増やすとか今の建築費の中でも吸収できるプランになれば(応募する)可能性を否定しないが小さい」などと話した。さらにゼネコン関係者は「何十社聞いてもダメ」などとはなした。