ワシントン支局・梶川支局長は「パウエル議長をめぐる発言を撤回した背景として、アメリカメディアは『前例のない経済のデッドラインに近づきつつあったから』と指摘している。議長解任というのはそれだけマーケットにとっては重いこと。相互関税の上乗せを90日間停止したのに加え、再びマーケットはトランプ氏のやりたい放題を牽制した格好のため、”政権のアキレス腱”が見えてきたと言える。マーケットは同じく米中の関税戦争にも深刻な懸念をもっている。現在互いに100%を超える関税を掛け合っているので、この状態を続けて良いとはトランプ氏自身も思っていないはず。ただ、中国の習近平主席との間でディールをしようと思っても交渉の糸口さえ掴めていないのが現状のため焦りがあると思う。G20は2期目のトランプ政権が発足してから担当閣僚が出席する初めての会合となる。出席するのはベッセント財務長官。中国をはじめ各国から直接厳しい批判が飛び交うことが予想される。IMFはきのうトランプ政権による関税政策の影響で今年の世界経済の成長率を引き下げたが、その上で貿易摩擦の激化だけではなく金融情勢が今後急激に悪化するリスクも指摘している。こうした中でG20会合が開かれるため、関税や貿易摩擦への懸念、自由貿易がこれからもできるのかということが議論になると思うし、為替をめぐってもトランプ政権のドル安思考に対し各国から批判が出る可能性がある。ただ、こうした状況のため共同声明の採択は難しいと思う。しかしG20として経済の減速を防ぐために最低限、どんな一致点を見出すことができるのかがポイントになると思う」と話した。