アメリカ・トランプ大統領のガザ地区を巡る発言には国際社会から激しい反発が上がり、トランプ政権内からは鎮静化を図るかのような発言も出てきている。国際社会は、1993年にイスラエルとパレスチナが結んだ「オスロ合意」に基づく交渉が行き詰まっている中でもイスラエルとパレスチナの2国家共存を解決の原則として掲げてきた。トランプ大統領の構想は実現可能性は低いとみられている。まず、国際法に違反すると指摘されている。国連憲章第2条は領土の保全や政治的独立を武力で脅かすことを禁じている他ジュネーブ条約第4条約・第49条は占領国による被占領地域の住民の強制移動や追放を禁じている。また、受け入れ国として挙げられたヨルダンやエジプトなど周辺国は反発し居住地を建設する資金を出すはずもないとみられる。さらに、アメリカ軍を派遣する可能性もアメリカ第一主義を掲げてきたトランプ大統領の従来の立場とは真逆。その本気度や思惑をアメリカメディアも考察している。まず、考えられているのはハマスやサウジアラビアに圧力をかけるというもの。ハマスについてはハマスの壊滅を掲げるネタニヤフ政権に配慮したもので別の組織への権力の譲渡を求めるというもの。また、トランプ大統領は1期目で仲介したアブラハム合意を拡大させサウジアラビアとイスラエルの国交正常化を目指している。一方、サウジアラビアはガザ地区での戦闘が始まって以降パレスチナ国家樹立への道筋が示されなければ正常化の交渉には応じないという立場で、これを変えさせようというもの。または不動産王としてガザ地区を本当に開発に適した地域としてにらんでいるという見方もある。そしてネタニヤフ首相に対しては、停戦合意の第2段階に進むために極右を説得する材料を与えたことになる。トランプ大統領は近くガザ地区訪問を計画すると述べている。