東京・渋谷の現場に魔娑斗が訪れた。現場の隣には進学塾があり隙間は30cmしかない。青山タイヨービルの幅は9m、高さ35mのいわゆるペンシルビル。1983年に大阪の化粧品グループの東京支社として建設。老朽化のためことし解体されることが決まった。渋谷駅から徒歩7分の青山通り沿い。交通量が多いため安全と周囲への配慮を徹底する必要がある。解体責任者たちはモハメド・アリ作戦を考えていた。高さ3m、幅7m、9トンの壁の解体には10m以上のアームの重機を使う。通常の壁倒しとは違い重機が後ろに下がるスペースがないためクローラーを横に向けアームを斜めにして行う。重機と壁を“キンシャサの奇跡”に例えて倒すという。重機オペレーターは古川修。重機が横転する恐れなどがあるため壁が倒れる瞬間を見極めて離さなければならない。難関ポイント1 ペンシルビルの壁を安全に解体せよ。古川は重機を壁スレスレに寄せていく。解体した鉄筋をだんご状にまるめた“鉄筋だんご”をクッションにして振動や騒音を抑えるという。さらにほこりを抑えるために散水する。まず大割でコンクリートを砕く。柱と梁を溶断。クラクションを鳴らし壁を倒す。古川は壁がゆっくり倒れるように大割の下の歯をわずかに壁に添える超絶テクニックを見せた。しかしまだ難関があるという。このビルはオフィスと立体駐車場が一体化した造りで立体駐車場はすでに解体されていて大きな空洞となっているため重機を上に乗せて階上解体することができない。そこでオフィス側にアームの長い重機を乗せ穴ごしに壁を解体するしかないという。