バッテリーメタルの1つ黒鉛の新たな調達先として注目を集める場所がある。カナダの鉱山の採掘現場で掘られた黒鉛が電池の材料として使われる。カナダのベンチャー企業が新たに採掘に乗り出した鉱山。カナダが注目される背景には、中国に対抗して米国が作った新たな法律の存在がある。IRAでは、米国を中心とした地域でEVのサプライチェーンを構築するのがねらい。米国国内でEVを購入する人を対象に1台当たり最大でおよそ120万円の税を控除する税制優遇措置を導入。その条件としてEVに使われるバッテリーメタルの採掘や加工などの一定の割合を米国国内もしくは米国とFTAを結ぶ国に限定した。北米の市場から中国を締め出す形。こうした中、日本の大手商社が手を組んだのが米国とFTAを結ぶカナダのベンチャー企業。およそ40億円を出資し一緒に黒鉛の開発に乗り出すことにした。現地企業のオフィスには商社の担当者が滞在。このプロジェクトでは生産だけではなく電池の部材への加工まで一貫して行う。米国を中心としたサプライチェーンを作ることで、北米市場での事業拡大や調達先の安定的な確保につながると期待している。