「天才贋作師」とも呼ばれるベルトラッキ氏に新たな贋作疑惑が浮上。フランス人女性画家であるマリー・ローランサンの絵画「アルフレッド・フレヒトハイムの肖像」である。この絵画を所蔵するマリー・ローランサン美術館の館長・吉澤公寿さんは、贋作である証拠の提示をベルトラッキ氏に求めていた。本物か贋作か?吉沢澤さんが直接ベルトラッキ氏にその根拠を問い質した。今回吉澤さんが本物だと主張する根拠は2つで、1つ目は作品総目録。マリー・ローランサンの研究者がまとめた作品総目録には描かれた年代や過去の所有者歴などが記載されていて、真贋の判定材料にも使用されているという。ベルトラッキ氏が描いたと主張するのは1988年頃だが、目録にはそれ以前に複数の所有者が存在する。目録とベルトラッキ氏の主張の食い違いについては、平行線をたどった。2つ目の根拠は、絵画の状態。1912年頃に描かれたとされる本物の絵画に対し、ベルトラッキ氏が描いたと主張するのは1988年。吉澤さんによると、絵の具の状態や匂いなどから古い時代の作品だと推測できるという。ベルトラッキ氏は「色や顔料、画用液など経年劣化させているから、臭いはしない」と技術を自慢しながら吉澤さんの主張を否定した。今回の議論では本物か贋作かどうかの結論は出なかった。吉澤さんは現在休館中のマリーローランサン美術館の再開を検討していて、フレヒトハイムの肖像を展示予定である。