米相互関税・トランプ政権の意図について重見吉徳氏とともに伝える。相互関税が発するメッセージは「緊縮宣言」「貿易の不均衡是正」「米国での生産拡大」など3つに分類できる。トランプ政権の問題意識はあくまで米国の過剰債務を減らしたいのではないかとのこと。一国の貿易赤字は他国からの債務に等しい。アメリカが貿易赤字を減らすことはアメリカが他国からの借り入れを減らすということに等しくなる。現在のアメリカの貿易赤字はGDP比で4%。100作って、104食べたいと言っているのと同じ。4の消費は他国からの輸入で賄うが、これがアメリカの貿易赤字に相当する。他国はこの逆で104作るが、100しか食べない。余った分はアメリカに輸出して消費してもらう。ただアメリカにはこの4を買うお金がないので他国から4を借りてきて消費する。この状態が過去55年続いているのでアメリカの債務は増える一方。つまり作る量を増やすか食べる量を減らさない限り貿易赤字は減らせないということ。貿易赤字はGDP比で4%だが、政府の赤字はGDP比で7%程度になる。ベッセント財務長官はこの財政赤字を3%程度に減らしたいと述べている。アメリカは家計への所得移転という政府の歳出に問題はあるがそれを削減するとなると今度は家計が消費を減らさないといけないという本来の問題に帰着する。米国が貿易赤字や債務を減らす方法としては、「消費水準を恒久的に引き下げる」「(米国内での投資で)中長期的に生産・所得を増やす」、それがダメなら「インフレで返済」「債務再編」などに至る。消費を減らしながら投資を増やすためにはドル安や相互関税が選択肢として移ってくる。米国が生産を国内回帰するのは簡単ではない。資産運用の観点からインフレの可能性に備えるべきではないかと述べた。