経済格差などさまざまな社会問題を抱えるインド。スタートアップ企業はこうした課題をも解決しようとしている。新たなビジネスを立ち上げ、困っている人を助けた若者がいると聞き訪ねた。アルジュンデシュパンデさん22歳。インドでは製薬界のロビンフッドとも呼ばれ、薬を安く提供するビジネスを行っている。中間層の家庭に生まれたデシュパンデさん。ビジネスを始めるきっかけは16歳のとき、薬局で見た光景だった。そこで考えたのが新たな薬の販売システム。デシュパンデさんによるとインドでは薬の販売はこれまで慣習として複数の販売代理店や卸売り業者などのいくつもの業者を介して行われてきた。そのためそれぞれマージンが上乗せされ、販売価格が高くなる構造的な問題があった。その問題を解消するため製薬会社から薬を購入して直接薬局に届けるまでを一括して行う新たな仕組みにできないかと考えた。デシュパンデさんは1日30軒近くの薬局をバイクで回りながら自分のアイデアを説明し、薬を買ってくれる店を探した。こうした地道な努力を続けて少しずつ事業を広げていった。デシュパンデさんのアイデアに関心を持った人がいる。インド最大の財閥、タタグループの元会長。その後、投資を受けることでデシュパンデさんの事業は大幅に拡大。全国でおよそ3000の薬局をフランチャイズ展開するまでになった。